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ストーリーとしての競争戦略を学ぶ(後半) 絶対に負けない事業を創る時登るべき4つの階段

おはようございます。ドドルあおけんです。

このnoteでは、月〜金日替りテーマでIT系のビジネストレンドなどをできるだけ噛み砕いてご紹介しています。

経営戦略・事業開発の火曜日。今日は先週に引き続き500ページ以上ある「ストーリーとしての競争戦略」をナナメ読み。
先の見えない時代(VUCA)と言われる中、長きに渡り利益を出し生き残るために、事業や会社の戦略をつくる上で登ったほうがいい4つの階段をポイントを絞って理解できる回となっています。

これは会社だけでなく、個人としても生き残り方を考える上で重要な考え方になると思います。

スターバックスに見るストーリーの骨組み

経営、という言葉を考える時、大前提としてとっても大事な視点は、他の会社と違うことをして、その違いによってお客さんがよりお金を払ってもらえるような価値を提供するさらにどうにかして低コストを実現するそれによって利益を長期的に出していくということです。

この”他の会社と違うこと”というのが、とても難しく、とても面白く、そしてとても重要なことです。

前回その違いを作ることに成功したアマゾン、マブチモーター、ガリバーの事例を取り上げ実際にどうその違いを作っているのかを見てみました。
3社とも低コストで事業を回すところにかなり焦点をあててましたが、今回はお客さんが払ってくれるお金の金額をがんばって上げに行ったスターバックスを例にとって、勝つためのストーリーがどのように作られているか見てみましょう。以下が本のチャートをもとにPPTに落としたものです。

NOTEネタ

戦略を見るときは、まずおしりから、見ていきます。

客単価UP(戦略優位)→長期的な利益の実現
最終的な目標は長期的な利益をいかに出していくかです。そのためにスターバックスではお店の回転率が悪くても客単価が上がる仕組みを作ることで戦略優位を築きます。

前回もお伝えしましたが、著者の楠木教授は、結構サッカーを例にわかりやすい例えをしてくれます。このチャートでいうところのゴールはサッカーのゴールということです。そのゴールを奪うためのシュートが”客単価UP”です。

第三の場所(コンセプト)→客単価UP
客単価をあげたい!というのはどこの飲食店も思っていることだと思いますが、そのためにはターゲットを絞り込みそのターゲットに最適な価値を提供しないといけません。

ハワード・シュルツCEOが着目したのは、現代のビジネスマンが置かれているストレスフルな環境です。会社では数字に追われ、家に帰っても家庭内でいろいろなストレスがある。スターバックスが創業したアメリカのシアトルはマイクロソフトやアマゾンのようなIT企業も多く、ある程度金銭的に余裕があるが、精神的に余裕がない、という人たちが周りにたくさんいたのではないかと想像します。

その人達に、ゆったりとくつろげる空間で美味しいコーヒーを提供できればその空間コミの価値で、職場・家庭ともにストレスを抱えるビジネスパーソンに高い客単価でもサービスを買ってもらえるのではないかと考えたわけです。その意味で提供すべき価値は、美味しいコーヒーを提供する、ではなく、ターゲットユーザにとって居心地のよい、第三の場を提供する、となりました。

このコンセプトを全力で実現することによって、スタバの総合力が高まり、高単価という戦略優位のシュートを打てる体勢が整うこととなります。

各種施策(戦略構成要素)→第三の場所
この第三の場所を実現するためにあらゆる方向から打ち手が打たれていきます。居心地のよい店舗の雰囲気と音楽、金銭的に余裕があるけど精神的余裕が少ない人が多いエリアへの出店(日本だと大手町、銀座、六本木などから)、フレンドリーで対応力の高い店舗スタッフの育成、ちょっと高くても納得させられるだけの商品品質など、それぞれの打ち手から「第三の場所」の実現に向けて矢印が発信される体制がつくられます。

次に、最大の難関・クリティカルコアについて少し掘り下げてみます。

直営方式というクリティカルコア(キラーパス)

そして競争戦略上最も大事なのがクリティカルコア。
シュートを決める流れを作る上で最も重要な”キラーパス”につながる最も難しい意思決定が必要とされる部分となります。スターバックスの場合は”直営方式”です。

このクリティカルコア、というのは、競合がやりたくてもやれない、真似できない、ある意味”非合理的な”施策です。非合理というと難しいですが、要するに、アホちゃうか、と思われるようなことです。

身近な例でいうと、ひな壇芸人全盛期にその仕事はやりませんと断って絵本を書き始めたキンコン西野さんや誰も本格的にやってなかったYoutubeに全力で突っ込んでいったカジサックもそうかもしれません。

テレビに出ることが一番大事、というプライオリティで動いている他の芸人からはさんざんバカにされたり、叩かれたみたいですが、今は手のひらを返したようにアドバイスを求められるらしいです。(笑)人がいかない方に向かっていく、というのはなかなか勇気がいることですね。

話をもとに戻しますが、このクリティカルコアと言われるものは、誰も真似しようと思わない、もしくは、あれ真似してもコスパ悪そう、ということです。
そこに可能性を見ている人が本当に限られている場合、そこに全力で投資・突っ込んでいっている人が成功した時にあとから追っかけても、自分の今までやってきたこととのポリシーと違い過ぎて、容易に真似できない、という性質のものです。

今までの売れっ子芸人の立場や仕事を捨てて、ある日突然引きこもって絵本を書き始められないですよね?
ある意味失敗してしまったら、だから言ったでしょ、という総攻撃を食らうただのアホなので、相当決断に胆力がいるわけです。だからこそうまく言った時は違いが作れるし、それが持続可能な競争優位、勝ち続けられる力を生むわけです。

スターバックスでいうとそれは直営方式で、海外から進出する企業が、現地で直接人を雇って、店舗開発をして、店舗を増やしながら運用をしていくというのはものすごいコストと時間がかかるし大変なわけです。
だから現地でフランチャイズ展開して、現地の人にある程度任せる、というのが基本的な飲食業の海外展開だと思いますし、そのほうが圧倒的に時間が短縮でき一見コスパがいいわけです。
しかし、スターバックスの場合その方式をとらず、直営方式にこだわったのです。

このむちゃくちゃお金と時間と労力のかかる直営展開をする、というのがクリティカルコア(他が真似できないキラーパス)になっていて、同業他社から見たら、なんでそんな面倒なことすんの?大丈夫?となっているわけですね。

ただ、ハワード・シュルツ目線で見ると、第三の場所を作るのにあたってフランチャイズ展開してしまうと、その現地人のパートナーはやはり営利集団ですから、できるだけお店の回転率を上げたい、という欲求にかられるのは当然で、そうすると絶対にオペレーションとしてお客さんにゆったりとした空間を提供する、という価値を自分が思うカタチで持続的に提供するのは難しい、という判断となり、直営方式以外選択がないということになるのです。

この他社にとっては非合理で、自社にとっては合理、というものを戦略の扇の要に位置づけることができれば、他社が容易に真似のできない戦略を作ることができます。まさに戦いを略す、ですね。

まとめ 戦略のレベル 1-4

最後にまとめとして図解しておきます。戦略のレベル0−4というのを見ながら、戦略作りのポイントをおさらいしておきましょう。

NOTEネタ

レベル0 外部環境の追い風で勝つ

これは、戦略ということではなく、たまたまみたいな話ですね。誰がやっても市場が伸びてるからそこそこ儲かるというラッキーパンチな階層です。
日本の高度成長期というのは、あらゆる分野に旺盛な需要があったと思うのでレベル0の経営力でもそこそこ儲かった企業もあったのではないですかね?

個人でいうと、たまたま知り合いに誘われて会社に入社したら、いつの間にかどんどん伸びて会社が大きくなるにつれ自分の価値も上がっていると思っている状態です。それ、あなたの力じゃないですから!という状態。危険。

レベル1 業界の競争構造の中で先行利益で勝つ

時代とともに技術が進歩するとそれに伴って新しい市場が次々に出てきます。今アプリ作る会社は山ほどありますが、2006年にAppleがiPhone出すまでは、その仕事時代存在していなかったわけです。こうした新しい市場変化をいち早く察知して、経営資源を投入し、ポジションをとることで先行者利益をとりにいく、というのがここでいう業界の競争構造の中での競争戦略です。

個人でいうと、20年前にこれからはインターネット来そうだなー、と思って、みんなが金融行くのに、インターネットに突っ込んでいったら、あんまり競争相手がいなくていつの間にか業界のフロントランナーになっていた、みたいな話です。先行者利益。

レベル2 嫌われる人を明確にするポジショニングと外から見えない秘密の組織能力で勝つ

ポジショニングというのは、コンセプトとセットですね。誰に向けて何を提供するのか、しっかりと決めるということです。スターバックスの例でいうと高価格帯を狙いにいく、ターゲットは比較的金銭的余裕があるビジネスマン、プロダクトは本当に美味しいコーヒーと居心地の良い店舗、接客によって第三の場所をつくる、ですね。
赤字で書いてあるトレードオフというのは、何かをとれば何かを捨てるということで、居心地の良さを求めるお客さんを追うのであれば、営業の途中で商談前に10分だけドトールに寄るようなせわしない人は切る、ということです。誰に好かれるかよりも、誰に嫌われるか、というのを明確にしたほうが戦略がはっきりする、と筆者はいいます。

逆に言うとターゲットが明確ということはあるタイミングでユーザ数が頭打ちになるわけで、海外に市場を求めない限り、永遠に右肩上がりはないわけです。それでもコストを削減する方向で利益を伸ばすことはできるので、しんどい時に安易にターゲットを拡大するのではなく、筋肉質のコスト構造を実現するとともにターゲットにより高頻度で利用してもらうなどより深く掘っていく方向が望ましいです。

一方で組織能力というのはそのコンセプトを実現するために積み上げ、磨いていくノウハウ的なものです。

セブンイレブンは、日々の発注を本部でデータ分析して一括発注するのではなく、必要な情報を与えた上で個別の店舗に予測させるというある意味、手間のかかる非合理なプロセスで行っているといいます。このことで例えば明日の土曜日は近くの小学校で運動会があるからおにぎりとお茶がいつもより売れるに違いない、という本部のビッグデータ分析だけでは拾えない情報を織り込んで売上・在庫の最適化を図ることができるそうです。

大事なのは、そういったオペレーションの裏側は、競合他社が見ても一見わからないことです。チャートにある暗黙性、というは、そういうことで、アマゾンの物流センター内のシステム開発のようなものも同じ類です。外側からでは何をやっているのかよくわからないからこそ、そこで確固たる仕組みを築き上げてしまえば、他社が真似しようにも簡単には到達できない状況を作りあげることができるのです。

ここは個人として考えると手広くやらず磨くべきスキルを決めてひたすら腕を上げにいくことでその◯◯界隈では名の知れた存在になる、そして業界の上澄みの人たちとのコネクションを強めることで他の人が真似できないポジションをとりにく、みたいなことですかね。

レベル3 すべてが有機的に繋がる戦略ストーリーで勝つ

戦略ストーリーは上のスターバックスの例で既に書いているとおり、キラーパスから長期的利益につながる流れの中で、すべての要素が有機的に結びついているデザインをすることです。

逆に言うと、この流れにはまらない、矢印がつながらないようなことはやらないほうがいいよ、ということになりそうです。

個人としては、自分がなりたい姿、理想とすべき状況をいったん決めたら、それと関係ないことにはあまり手を出さない、ということでしょうか。
例えば、魚介系ラーメンを戦場に決めて、そこ名を上げたかったら、いったん美味しいスイーツを作れるスキル獲得とかは脇に置いとこう、という感じです。

レベル4 誰も真似しようとしてない一見クレイジーなクリティカル・コアで勝つ

アマゾンで言えば、物流センターに巨額投資を続けていた初期フェーズ、マブチモーターで言えば、皆がお客さんの要望に答えようとするのに自分たちが標準化した規格のモーターしか売りませんという方針、ガリバーで言えば、中古車の買取しかやらず、買ったものを直接エンドユーザに売ってより大きな利益をとることを放棄する、みたいなことです。

もし、自分が熟考の末考えたクリティカルコアを同業他社に説明した時に、こいつ大丈夫か?という表情を浮かべたら、心の中でニヤってなるんでしょうね。経営はアート、だということを言う人がいますが、期待値と裏切りという構造では似ているかもしれません。

例えば僕が毎日結構な時間をかけてnoteに向かうのは、もしかしたら、クリティカル・コアをアマガミしている気もするのですが、ただ確信を持ってやっているわけではないので、その青い鳥を見つけるべく、しばらくさまよってみようと思います。

ということで、本日のお話は以上です。

日報

備忘録として。

・Mさま向けCC&Cのスキーム資料(am〜)
・P 今後の案件整理 Mさま訪問調整(4pm)
・PMシンクアップ(5:30pm)
・P案件内部定例(8:30pm)

(独り言) 7/1に体制変更。案件立て込みぎみ、要整理&プラン化。

明日は、日米のEC企業の売上げランキングを比較して、どの辺が勝ち組なのか、というのを見渡してみたいと思います。

マーケティングの月曜日
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それでは今日もよい一日を。

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