そうだ、転職をしよう。最終章 勝てるのか?
おはようございます。
Doddleカントリーマネージャー(内定中)のあおけんです。
僕の転職のストーリーをまとめた、そうだ転職をしよう、シリーズも今日が最終回となりました。
その1では、転職の際重視するポイントとして以下の3つを上げました。
①意味があるか? (自分の人生、キャリア設計との兼ね合い)
②できるか? (自分の能力、実績との兼ね合い)
③勝てるか? (会社のビジネスモデル、将来性の兼ね合い)
その2では、Doddle(ドドル)という新天地で僕の見つけた意味を、その3では、自分のキャリア・能力と会社の求める人物像をどうマッチングさせたかをお話しました。
そして今日は、勝てるか、にターゲットを絞ってお話したいと思います。
スマートフォンというゲームチェンジャー
Doddle(ドドル)の勝ち筋の話に入る前にその前提としてみんながスマホを持っているのが普通、という当たり前だけれど、とても大事な話からスタートしたいと思います。
この図は総務省の発表しているスマートフォンの個人保有率の推移を表したものです。
2011年14%だったものが、たった5年間で56%にまで増えています。直近見えてる数字では2017年が60%を超えているみたいなので、2020年は70%くらいはいっていると思います。
大事なのは今後経済活動の中心になっていく若い世代程普及率が高く、4年前の2016年の時点で、20代で94%、30代で90%、40代で79%と、大人は持ってて当たり前になってきているということです。
スマートフォンというのは、ご存じのとおりAppleが提供するiOSプラットフォームか、Googleが提供するAndroidプラットフォームをベースとした携帯端末を指すため、この2つのプラットフォームに最適化できない=個人向けITサービスビジネスとして死ぬ、ということになります。
ガラケーと言われた携帯端末で独自の進化をしてきた日本ですが、そのガラケー時代に一時代を築いたモバゲーやグリーはもはやゲーム市場で存在感を示すことはできていないと思います。
どんなに良いものを提供していても、グローバル企業が起こす津波のようなうねりの中で起こるプラットフォーム争奪戦とその覇者であるGAFA(MN)プラットフォームの存在抜きに個人向けのサービスを構築することは非常に困難です。
さらにこれからデジタルトランスフォーメーション(DX)の名のもとに、これまでネットの中で閉じていたデジタルの進化が、私たちの生活するあらゆる場面を飲み込み、AIとの掛け算でリアルを上書いていきます。
これは、中国でアリババが、米国でアマゾンがスーパーマーケットなど小売店へその事業領域を拡大している現状から見て日本の近未来で確実に起こる動きです。
このデジタルがリアルを上書く、という近未来に向けて、あらゆる産業は準備をしなければならないと思います。
ただ、企業が大きければ大きいほど、これまでの成功体験に基づいた思考プロセス(ここではガラケー脳とでも表現しましょう)に寄ってしまいがちになるため、なかなかGAFA×スマホ(Android OS/iOS)を前提としたカスタマージャーニーを作りに行けないというイノベーションのジレンマが生じてきます。
スマートフォンの登場で大きく変わったのはゲーム、広告、通販といった領域でした。今後はそれが全産業に広がる、そこではガラケー脳が邪魔をしてイノベーションのジレンマが生じ大企業が遅れる、そこを突くのがDoddleのような振興企業の戦い方です。 #ドヤ顔
勝てる?ビジネスモデルから考えるDoddleの可能性
ビジネスモデル、よく聞く言葉です。なんとなくわかってる気もします。
じゃあ、前にきて説明してください、と言われたら、ウッてなりますよね。
僕もこれまで資料でさんざんビジネスモデルというのを書いてきましたが、最近尾原さんの話を聞いて、なんか僕(や会社の人たち)が話していたのは、ビジネスモデルではなくて、単純に商流と利益配分の話だったことに気づき、今さらながらきちんと知識をアップデートしていくことは大事だな、と思っているところです。
ビジネスモデルとは何でしょう?それは次の2つの問い答えることです。
①誰が、何で買ってくれるのか?(顧客価値をどう創造するか?)
②儲かるとわかっても、なぜ他が真似できないのか?(持続的競争優位性をどのように担保するか?)
①はみんないつも考えていることだと思うのですが、IT系のスタートアップで特に大事なのは②なんですね。①がオフェンスだとしたら、②はディフェンス。負けない構えをどう作るか、という話で、この②をおろそかにするとアイデア一発で人々の関心を一時期とらえることができても、持続的に収益を生み出し続けることができないことになります。
ということで②の解像度を上げていきましょう。
アメリカのベンチャーキャピタルのNFX Guildは、スタートアップ企業が持続的競争優位性を築く上で以下4つのポイントをあげています。
①ブランディング
②規模の経済性
③ネットワーク効果(相互ネットワーク効果とネットワークの外部性)
④組み込み型(Embedded)
ブランディングは指名買いによる顧客獲得単価の低減が見込める、規模の経済性はたくさんユーザを持つことで固定比率が下げられる、とここはよく語らられる話なので、ここでは③と④について触れていきたいと思います。
③のネットワーク効果はIT系のスタートアップにとって非常に大事なポイントです。難しい名前がついていますが、話は簡単です。
2つのネットワーク効果
ネットワーク効果その1は、相互ネットワーク効果です。
これは、買い手が多いところに売手が集まる、売り手が多いところに買い手が集まる、という市場原理です。これで成功しているのが、アマゾン、楽天、メルカリといったモール型ECのプレイヤーです。
僕自身もアマゾンが持つレビュー機能とレコメンデーションエンジンが非常に便利なので、ほぼ何か欲しいときは検索して買ってしまいます。アマゾンで売っていないよっぽどいいものがない限り、他のサイトで個人情報やクレジットカード情報を入れなおして、何かを買うということはなくて、この状況がアマゾンが作り出した相互ネットワーク効果を端的に表しています。
ネットワーク効果その2は、ネットワーク外部性です。
これは、仲間外れにされたくない、という状況を作るということで、わかりやすいのが、LINEです。今、LINEアカウントを持っていない大人というのは、日本では社会生活が成り立たないですよね?
LINEアカウントを持っていないことである集団から仲間外れになってしまう。そういう状況を作れれば、みんながそのアカウントを使い続ける=サービス提供を継続的にしていくことができる、ということになります。
フェイスブックやインスタなどもこのカテゴリーに入りますが、古くはマイクロソフトが作ったエクセル、ワード、パワーポイントも、このツールでファイルをやりとりしないと外の会社と仕事ができない、という意味ではネットワーク外部性の元祖といえるかもしれません。
そういえば、中学生時代に転校した先が結構荒れた公立中学で、仲間外れになりたくなくて、個人的にはこれのどこがカッコいいんだろうと思っていた短ランを買ってきて着ていたを思い出しました。ご存じない方のためにこんなの。
この短ランもいわば中学校、という特定のコミュニティの中でネットワーク外部性を作り出すツールの役割を果たしていたんですね。♯まじめが続きすぎて面白に寄せようとして失敗
ということで(どういうこと?)、ネットワーク効果のイメージなんとなく伝わりましたか?
この人や企業同士をつなぐプラットフォームはティピングポイントというある閾値を超えると人が人、企業が企業を呼び成長が自走していきます。いわゆる勝ち馬にのろうとする集団心理が働きはじめるんですね。こうなったら勝負あったです。
組み込み型(Embedded)
組み込み型というのは、ターゲットとする法人顧客の基幹となるオペレーションの中に自社が手掛けるサービスを文字通り組み込んでしまうことです。
GAFA(MN)がほぼほぼ個人向けのプラットフォームを牛耳ってしまった今、新しく起業をしようとすると領域を絞ってBtoB、もしくはBtoBtoCに着目するのが鉄板です。
まず、狭くてもよいので特定の領域で圧倒的なシェアをとり、”〇〇カテゴリNo1”の称号を勝ち取ったのちに、周辺領域に徐々に拡大してきます。アマゾンのジェフベソスが、総合通販に移る前にまずロングテールが利いて、在庫で商品劣化が進まない本の領域から始めたように。
この領域を絞る時に、この組み込み型、というのが大事な視点だと思うに至りました。自分が一番になれそうな領域で、潜在的な顧客企業が欲しいけど自分ではできなそうなサービスを提供し、その顧客企業の基幹オペレーションに組み込まれれば、容易にはそのシステム・サービスの切り替えはできない=長期的・安定的な収益を確保することができる。
Doddle(ドドル)の勝ち筋
ということで、ネットワーク効果、組み込み型がIT系スタートアップが手掛けるビジネスの防御力を上げる上で重要なことはなんとなくイメージしてもらえたのではないかと思います。
今回のDoddleという会社に見た勝ち筋はまさにココでした。
現在、アマゾンや楽天は自社の物流網を強化する垂直統合の方針を出して投資を進めていますが、社会全体として物流の最適化を果たすという方向には向かっていません。
DoddleのCROとの面接の時に、僕はAmazonはApple、DoddleはAndroid OSに似ていると話して、それいいね!その例え好きだなーと言ってもらいました。
どういうことかというと、Amazonはとにかく全部なんでも自分でやりたいわけです。自分で全部コントロールしたい、閉じた世界を志向していて、このスタンスはAppleのそれと似ている。
一方、GoogleのAndoroidはOSを外部に開放していて、そのプラットフォームを使って端末メーカーは自分の好きな端末を作り、好きな金額で売っていいわけです。Doddleは特定の通販企業への提供ではなく、もっとオープンなプラットフォームを志向している、という意味でAndoridに似ていると思ったんですね。
クローズ vs オープンです。スマートフォンを発明したAppleですが、グローバルで見ると2020年1月のOSシェアは、Androidが74%、iOSが24%ということで、世の中の端末の3/4はAndorid。マイクロソフトとAppleのパソコン競争でも、マイクロソフトが圧倒的なシェアを獲得するに至ったように最終的にはオープンな方向で最適化されていくのではないかと思っています。
そういった意味で、日本にないサービスで、通販企業とピックアップポイントを自由につなぐことができるDoddleサービスには大いに可能性があると考えています。
さらに、ここが決め手なのですが、Doddle本社のトップ層が日本に何回も来た上で、(詳細は言えないのですが)誰もが知る大手と協業に向けて動いているということが面接の中でDoddle幹部から語られました。
もうお客さんが見えている。
これほど強力な追い風はありません。
ということで、まとめまると、モデルよし、お客さんあり、ということが最終的に僕が勝てる!と総合的に判断した理由でした。
CEOとの最終面接の最後に、他に何か質問はありますか?と聞かれた時、僕はこう答えました。
”ここまで舞台を準備してもらったら、あとはやるだけです。”
これから
さて、いかがだったでしょうか。僕の転職の物語はここでおしまいです。
次回からは、これからどうやってビジネスを拡大していけるか、試行錯誤の連続をリアルタイムに共有していきたいと思いますので、引き続き興味をもっていただけたら幸いです。
今日もここまでお付き合いいただきありがとうございました。
それでは、よい一日を。
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