見出し画像

話題のAll Birdsに学ぶD2C企業の勝ち筋

D2Cってそもそも何だっけ?

おはようございます。

ドドル・カンマネ(カントリーマネージャーをカンマネというらしいです)のあおけんです。

今日はD2C企業All Birdsについてのこんな記事があったので、D2CモデルやAll Birdsについて少し深堀りしてみたいと思います。

【真価問われる日本版D2C】 本場・米国からも進出/「オールバーズ」は実店舗とECで本格展開 (日流ウェブ)

D2Cは、Direct to Consumerを略したマーケティング用語で、アパレルや化粧品などを中心にD2C企業と言われる新興勢力が主にアメリカから登場してきていて、日本でもFabric Tokyoなど同様のスタートアップが生まれてきています。

画像1

マーケティングの世界では、日々Buzzワードというのが生まれていて、Web2.0とかWeb3.0とか、もう違いがよくわからないよ、というのも多いですよね。だいたいは物事の分類の仕方の話なので、人の視点の数だけそういったBuzzワードは作ることができるとも言えます。

今回のD2Cは、ユニクロとかを表現していた、SPA(speciality store retailer of private label apparel)とどう違うのか、というのが僕もよくわからなかったのですが、いくつかの解説を見て僕なりに理解したのは、自分で作って自分で売る(製造小売)というところでは変わらないのですが、実店舗に重きを置くか、ECに重きを置くか、が違う、ということのようです。

もう少し言うと、出自が違うということなんだと思います。総合格闘家でも、ムエタイ上がりなのか、柔道上がりなのか、同じ総合といってもそれぞれ独特の戦い方、癖がありますよね?僕はそんな風にとらえています。

そういう意味でいうとD2C企業はデジタルの企業がリアルに店舗を持つ(ことがある)ということで、基本はスマホ上での顧客の行動データも含めて、データをフル活用して、魅力的なブランドコンセプトの上に、ユーザが欲しがる製品にカスタマイズすることも含めて、ユーザ体験、カスタマージャーニーをチューニングし続けていくことに注力していくことで実店舗発想の人たちと差別化を図っていく、ということになりそうです。

ここまでを予備知識として、All Birdsを見てみましょう。

”持続可能な”をBeliefの中心に掲げる”All Birds”

前回取り上げたZoomのCEOの創業の想いの日記でもお伝えしましたが、スタートアップの場合、創業者が持つ課題感というのはとても大事です。

それでは、人と環境にやさしい靴、を追求するAll Birdsの創業者はどんな想いでこの事業を立ち上げたのでしょうか?その背景を彼らのウェブサイトで次のように話しています。

ニュージーランド出身のティム・ブラウンは、メリノウールのユニークな特性に着目しました。好奇心旺盛な彼は、なぜこのような注目に値する持続可能な素材が靴産業に存在しないのか、疑問を抱きました。これが、オールバーズの始まりです。長年の研究と実験ののち、ティムは再生可能エネルギー分野のエンジニアであり専門家であるジョーイ・ツウィリンジャーとチームを組みました。彼らは一緒に、靴用に特別に作られた革新的なウール素材を開発。このようにして、彼らは「より良いものを、より良い方法で」作り上げたのです。

画像2

(どっちかがティムで、どっちかがジョーイ)

ここで個人的にAll Birdsが秀逸だと思うのが、人にやさしい靴、という切り口であれば、そこまでアピールする力がないものを、SDGsの時流をうまくつかんで”持続可能な”というキーワードを自らの存在価値の中心に据えたことです。さらにそれを本気で実現するために、デザイナーでも、素材調達担当でもなく、再生可能エネルギーのエンジニアと最初にチームを組んだところです。ここに彼らだけが語れるストーリーができ、そのストーリーに人々は惹かれ、ブランドのファンになっていく。

画像3

画像4

画像5

僕はAll Birdsの靴を履いたことはないですが、履いてみたいな、と思います。それは、靴を買っているのではなくて、ストーリーもっと言えば彼らのBelief・信念を買っているんですね。

D2Cという販売手法はその次に来ることで、一番大事なのはこの人を引き寄せるコンセプトを創業者が創出できるか、そしてそれに基づいたプロダクトの開発をコミットできるか、だと思います。

いったんこのBeliefをもとにしたブランディングとそのBeliefを感じられる製品を作り上げられ、特定のファン層の支持が得られるのであれば、十分ネット上での販売活動だけで商いが成り立つと思いますし、その構造が実現できるのであれば、ショールームとしての実店舗をブランディングにあった場所で展開していく、ということになると思います。

そういう意味で実店舗は、自分たちのBeliefをユーザに体験してもらうことを最優先すれば良くて、その場で売らなくても後でネットで買ってもらえばいいということで店舗の接客優先順位も変わってくるはずです。在庫ももたなくて良いのでそんなに大きな店舗を構える必要もないという意味でいうと、ユニクロやGAPなど実店舗で売上を上げることを前提とするSPAとは戦い方が全く違うんだろうな、と想像ができます。

今年1月に原宿店を立ち上げ日本に進出したAll Birdsは、米国での人気を知る顧客が実店舗に押し寄せ行列が絶えないといいます。これまでニューヨーク店が世界一の売り上げを上げていたけど、原宿店がその売り上げを抜き、世界トップとのこと。日本人は海外で人気、が好きですね。

今後も彼らの動向を注目していきたいと思います。

DoddleとD2C企業の相性

最後にD2C企業とDoddleの相性について少しだけ。

D2C企業はそのブランド力をもって支持するファン層にAmazonや楽天などを介さず、直接販売することで収益を確保するモデルです。こういった大型ECモールから独立した存在であるという点、さらにデジタル思考、カスタマージャーニーの重視などを考えるとDoddleが提供する”通販で買った商品をお客さんが自分が好きな時に好きな場所で受け取れるサービス”ととても相性がよいと思っています。自立・分散な感じですね。

お互いチャレンジをする立場という点では変わらないと思いますので、国内外のD2Cの皆さんとはぜひ協業して新しいエコシステムを作っていければと思いますし、そのための企てを進めていきたいと思います。

ということで、今日もここまでお付き合いいただきありがとうございました。

それでは、今日もよい一日を。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?