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【day61〜66】 じんわりとおかしくなっていた日記

24:立冬 72:地始凍(ちはじめてこおる)〜金盞香(きんせんかさく)

11月15日(水)

今年はトレンチコートやステンカラーコートに、ウール以外のストールを巻くような季節がなかった。暖かい日はあるにはあるのだが、一度寒くなりすぎたのと、世の中が「今年は秋がなかったね!」という掛け声とともに、自ら冬のアウターを着て二季に突き進んでいる気がする。

私は、焦りが服を着て歩いているような人間だなあと思う。
こうして書いている間も焦っている。一目散に書き上げないと忘れてしまうし、終わらないとのんびりできない。
で、終わったらのんびりしているかというと、別の用事を先回りしてやっている。
これでは永遠にのんびりできない。絵を描いたり、服を作ったり、映画を見たりする時間を自分に与えられない。
(編み物や読書を細切れにするくらいならできる)
書くのが楽しいはずなのに楽しんでいない。
何をやっていても「本当は今こんなことをやっている場合ではない」と思っている。特に最近その傾向がひどい。
(あと、大前提として人生そのものに焦っている。これについてはまたいつか)

あさイチで「#METIME」の特集をやっていた。タイムリーだった。
否応無しの新生活が決まって以来、そこに向けてやることだけが大事になっていて、今の自分が何をしたいか、何が好きなのか、さっぱりわからなくなっていた。ちょっと時間ができても、何をしたらいいかまるでわからない。引越しが決まる前はそんなことなかったのに。

ためしに、番組で紹介していた「好きなことを100個書出す」をやってみる。一度に40くらい書けた。
それらのほとんどから、自然とか美しい空間とか、「癒されたい」なんなら「疲れた」が滲み出ていた。
服作り、旅などアクティブなものも入るには入るが、今は想像だけでげんなりしてしまう。「余裕があれば好き」という項目が自分には必要だった。
今、相当に疲れていて余裕がないのだなと思った。
その中で、「文章を書く」ことだけは、余裕がなくても好きなのだと気づく。やはりよほど好きだから、私にとって一生やることなんだろうと思う。
書き出す作業も楽しい。

この日は月に一度のクルマの練習。もちろんこれも自分に「課して」のことだ。
カーシェアは月に1時間は乗らないと月額料が損になってしまう。そして、もうあと少し乗れば、ステータスが上がって月額料金を払わなくても会員のままでいられる。地方に行く前に上げたい。

環七をずーっと北上して、右折して、幡ヶ谷のサンデーベイクショップへ行った。
京王線の地下区間が苦手で、このあたりには来る機会がなかった。そこへクルマという手段を得た私、偉い。実はすごいことだ。
さすがに行きも帰りも簡単で、車線変更すらほとんどしなった。
狭いコインパーキングにもうまく停められた。
ほとんど初見で行けたことが、簡単な道ながら自信のもとにもなった。

焼き菓子に行列して何千円も注ぎ込んでいる若者たちを見ると、
物価高や薄給でみんな苦しんでいるって本当?と思う。
とはいえ、ここにお金持ちが集まっているわけではなく、不思議と両立するのだとも思う。

11月16日(木)
仕事。電話で撮影アポばっかり。つかれた。飲食業の人はテキストのやりとりが不得意だ。というか、重視していないし、平気でスルーする。私は自分が言ったか言わなかったかも不安になるので、極力メールでやりとりしたいのだが。これも最近のストレスのひとつ。

11月17日(金)
朝、どしゃぶりのなか通勤。
電車が駅の手前で一瞬止まる。すぐに動き出す。
地上だし、これくらいのことではもう動じないはずなのに、この日はなぜか違った。

思考がすーっとスローになる。胸か頭か、何かがウワーッとなる。次の駅は地下にある。一瞬のうちに「これはいつもと違う。危ない」と思って、駅でドアが開いた時、ほぼ迷いなく降りた。

これくらいのこと、もう平気なはずだったのに、のぞみに乗れた私が。
もちろん悔やまれるが、こんな時もある、と言い聞かせる。
雨のせいもあるが、たぶん、根本的にストレスが自分の中に降り積もっている。寒暖差もあるだろう。
ここのところよく眠れるし、おなかの調子もいい。
しかし、やっぱりどこかで、もうじき引っ越す、何もかもが変わる、という落ち着かなさや不安が、この2か月間で心の底に蓄積しているのだと思う。

11月18日(土)
今これを、新しいMacBookair15インチで書いている。
このストレスのなさ。これは研究された奇跡なのだと以前のDELL事件で思い知った。

しかしこのMac、今度はなかなか届かなかった。配達予定日を2日すぎた土曜午前に届くはずが、こない。
ヤマトに問い合わせるが、確認して折り返しますと言われる。
焦る。今の私にとってはとんでもない高額商品で、もしものことがあったらと思うと血の気が引く。何より、やっと心を決めて注文したんだ。これ以上待っていられない。
ついヤマトの人への口調も強くなる。
つい最近、家のネットが繋がらなくなった時もこんな感じだった。テクノストレスの蓄積もあるが、私自身もあまり状態がよくないのがわかる。
世の中の人は、ほとんど私の思い通りには動いてくれない。「なんでこんなことわからないの」「私だったらこう対応するのに」を、いちいち感じなくなりたい。相手が外国人だと思えばいっそ気がラクなのか。それくらいに思っておいたほうがいいんだろうなあ。

結局、Macが遅れて届いたのは、宛名が旧姓になっていたことが原因だった。
ううむ、私のせいなのか、どうなのか。いつもは旧姓でもなんでも届くんだけどな。

11月19日(日)
久しぶりに特に予定のない休日(私にとっての休日は、水曜と日曜である)。
昼から夫と横浜駅あたりへ買い物へいく。商業施設が久しぶり。夫は手帳、私はボディショップのリップバターを買う、あと、Bshopでマフラーを見る。夫とマフラーを共用できなくなるため、必要なのだ。高いのでここでは買えず。
その後、白楽まで戻ってeimekuをのぞき、ずっと来てみたかった妙蓮寺の書店、生活綴方に入る。

意外にも、私みたいに困り事を抱えて生きるしかない人のための本がたくさんあった。
おしゃれで自由な空気に憧れるだけの人生はとうの昔に終わってしまったけれど、案外心の病や障害と、海や森の空気は近い存在なのかもしれない。
稲葉俊郎さんという医師の『ことばのくすり』を買う。存じ上げない人だったが、ぱらっとめくっていて、あ、このひと、今、旬なんだろうなと思った。年下で、軽井沢に住んでいる医師。おしゃれ医師、おしゃれメンタルヘルス。

メンタルヘルスがセルフケアという言葉に変化して、おしゃれ化している。よいことだ。すてきな暮らしが心身ともに健康な人のだけのものだと、私のような人間はつらい。困っている人ほどすてきな暮らしが必要なのだ。

夫はイスクラ著『ノスタルジア食堂』を購入。
欧州の材料で作れそうな料理がいっぱい載っている。
どうかこれで異国へ行ったらかえって料理するようになりますように

11月20日(月)
精神的危機は突然やってくる。
ほどほどに楽しい週末を過ごしたはずだった。
明け方、猫の爪とぎの音で目が覚めた。まだ暗い。5時間くらいしか眠っていない。
起きた瞬間、爆発的な怒りが体の奥底から湧いてきた。
この週末、夫はほとんど家事をしなかった。
いつもならやる食器洗いもしなかったし、先に帰ってきても洗濯物を取り込まなかった。
私がそれほど忙しくなかったのでなんとかなったが、「朝から晩までずーーーーっとちまちま家事ばっかりしてて、奴隷みたいだな」と、何回か思った。
それが明け方に爆発した。今すぐ夫を叩き起こして説教をしたい気持ちになったがぐっと堪えた。が、気配を察したか夫は目を覚ました。夫に思いのたけをぶつけてしまった(それがだめだったとは思わない)。
いくら私の仕事が週3とはいえ、家事比率が95対5なのはおかしいし、自分にとっての休日である水曜と日曜も夕飯の片付けなどすべてやっていたら、結局まるで休んだ気がしない。よくよく考えたら、もう何か月も休みらしい休みなんてない。

当然二度寝などできない。目も顔もヒクヒクする。特に目がひどい。今日、仕事は無理だ。ここで無理したらたぶん壊れる、とはっきりわかった。
職場には「体調不良で休みます」と伝えた。嘘ではない。

とはいえ、寝不足の体で突然休日ができたとて、満喫などできない。
夫は在宅仕事だし、私は例によって昼寝できない。
こういう時はわざとマックへいってポテトを食べる。こういうのわかりませんか。自分から不健康になりにいく感じ。

のんびりしようにも、凄まじい焦燥感にかられているので、結局明日の家事を先回りしたり、荷物をたくさん受け取ったり、歯医者へ行ったりする。夕方、少しだけ落ち着いてきた。
明日はもともと自宅で家事の日なので、きっと明日、いくらか心を休ませられるだろう。

夜、明かりを消しても、来るべき「その日」のことを考えると、ワーっと不安発作が起きそうなる。
そこで、布団の中でヒロシのソロキャンプ動画を観る。自分のやっていることが典型的すぎてなんだかな、と思うのだが、やっぱり、無言で火を焚き眠る時間を垣間見ると、人ってひとりなんだなとしみじみ納得できる。念のため久しぶりに眠剤を飲んだが、早めに安眠できた。ありがとうヒロシ。

(それにしても、私は何が怖いのだろう。二人分の家事がこれほどストレスなら、今後一人暮らしができるなら最高じゃないか。夫にこれほど怒りが湧いているというのに、同時に分離不安があるというのはなんなのだ。
本当に分離不安なのか? とにかく環境の変化が怖いのか。一人になるということが怖いのか。不眠状態で一人暮らしなどしたら、発作的に自分が死を想ったりしないかが怖いのだろうか。)


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