『アイリーン・グレイに惚れ込む』

「ル・コルビュジエとアイリーン〜追憶のヴィラ〜」
監督：メアリー・マクガキアン
出演：オーラ・ブラディ、ヴァンサン・ペレーズ、フランチェスコ・シャンナ

自由にこだわり、自分を貫いた女性。
常に動じない冷静さを感じるのに、作品や生き方に対する情熱はとても激しい。
最初、淡々と流れていくように感じたけれど、どんどん自分が映画の中に入っていくのを感じる。
映像が美しい。これは私の好きな映画の理由となるにすごく大切な要素。
景色も美しい。
海も木々も光も、そして、建築、インテリア、ファッション、すべてが
心地よい一体感を持ち、その映像の中で絡み合っている。
特に彼女のファッションはシンプルで格好良く、彼女の強さを包み込んでくれているようにも感じ何より、見ていて楽しくなる。

何より快適さ、家は”人を包み込む殻”
”形式よりも生き方が全て”という彼女の一貫した考え方は
特に今の時代に響くものだと思う。

少なくとも、私にはとてつもなく響くものだった。

そして時代、だけではなく、人によって排除された
アイリーン・グレイの静かな怒り。
大切にしているものを奪われる苛立ち、やるせなさはとても共感できる。
どこまでも自分の生き方にこだわる姿は凛として強く美しい。

そして、もっとアイリーンについて知りたくなり、もう一つの映画を観ることに。

「アイリーン・グレイ　孤高のデザイナー」
監督：マルコ・オルシー二
出演：メアリー・マクガキアン、ジェニファー・ゴフ、フィリップ・ガーナー

これは最初の映画を観たら、絶対に観た方が良い。アイリーン・グレイについて多くの人が語るドキュメンタリー。
彼女の素晴らしい才能が時代に翻弄され、評価されず閉ざされた長い時間。
でも現代において再評価されたおかげで、私もこうして彼女に少しでも触れることができた。
作品だけでなく、
彼女そのものに興味が湧いた。
もっと知りたくなった。
作品を生で観たい、そう思った。

この映画を観ると、きっとまた最初の映画が観たくなる。
だって、私は観ちゃったから。
２回目はますますアイリーンが好きになる。
まずは本を探しに行こう。