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タイ人女性との共同生活 第五話 ~虫を食べる女~

彼女は食べ物の好き嫌いが多い。特に野菜は全般的にダメらしく、野菜を食べているところを見たことがない。なので野菜を食べている俺を見ると、彼女はいつも不味そうな顔をする。

とある夜。彼女と買い物を終えた帰り道。街灯のないどんよりとした道を歩いていると道端で一つの明かりを見つけた。明かりの正体は昆虫を売る屋台で、客が二組並んで待っている。彼女は店の前で足を止め、虫のミックスセットを頼んだ。紙コップいっぱいに無造作に入れられていたのはコオロギやバッタ、ミルワームのような細い芋虫とそれより二回りほど大きい太めの芋虫。彼女は慣れた様子で躊躇なく虫を食べ続け、家に着くまでに完食してしまった。俺は虫を食べることに抵抗はないが、若い女性がむしゃむしゃと虫を食べているのを見るのは良い気分ではなかった。野菜は食べず、虫は食べる彼女を可笑しく感じた日であった。

第六話↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓


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