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タイ人女性との共同生活 第六話 ~血のファンタ~


タイでは至る所に祠がある。家の模型のような祠は精霊(神)に祈るためにあるという。多くのタイ人はその文化から遠ざかっているというが、今でも神を信仰し祠に祈る人々は多く、若者の姿も珍しくない。

タイでは何か不幸なことが起これば、それは精霊(神)、ピーの仕業だと思うらしい。そのため、ピーを怒らせないように家や施設の敷地内に祠を設けて食べ物や飲み物、線香や花などをお供えし、祈ってピーを祀っている。その祈りでピーはその土地や人々を守ってくれるらしい。

お供え物の中で気になるのは動物の置物とストロベリー味の飲料、赤いファンタ。置物はチキンやシマウマが多い気がするが、場所によっては象や馬や虎など、色々な動物の置物が供えられている。
そして赤いファンタだ。彼女の家の棚にもウルトラマンのフィギュアと仏具と共に飾られている。

赤いファンタを供える理由としては昔、儀式の一環として動物の血を神に捧げていた歴史があり、その名残だという。

赤いファンタは過去に日本でも限定販売で売られていたそうだが、あまりの人気の無さにあっという間に消えたらしい。だが、売られている商品はその土地に住む人々の好みや人気だけではなく、歴史や文化も関係していると実感した。俺はここタイで、赤いファンタを飲んでいる人を一度も見たことがない。ここでの赤いファンタは血のファンタであり、人間の飲料というよりは神へのお供え物なのだ。

彼女は俺と違って神を信じている。枕の下には仏具が眠っているし車のルームミラーにも仏具がぶら下がっている。彼女は日々熱心に祈りを捧げているが最近はどうも様子がおかしい。どうやら神は彼女に救いを与えていないようだ。

第七話↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓


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