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ジム通いを続けるには?

そ新しい年がはじまりました。ブラジリアン柔術の道場に入会者が増える時期です。フィットネスジムでも同じです。新年に、何か新しいことをはじめたくなるのだと思います。

とは言え続けるのは難しいフィットネスジムですと1年続く人は5%程度というデータもあります(Sperandei et al., 2016)。柔術の道場でも未経験者の9割は1年のうちにやめてしまうと良く言います。

53の方法を比較

どうしたら運動を続けることができるのでしょうか?Milkmanたちは、運動の継続に効果的なサポートを検討するため、これまで効果があるとされた53の方法を比較しました(Milkman et al., 2021)。政策決定の援助を目的としたため、ジムの経営者や政府・自治体が実施する手法に焦点を置きました。

4週間にわたり53種類のサポートのそれぞれを別の参加者が受け(平均すると1つのサポートに1135人)、ジムに通う回数が測定されました。合計で61,293人が参加した大規模研究です。

4週間で参加者は平均して週に1.27回ジムに通いました。そして、53のサポート方法の54%にジム通いを増やす効果がありました。

効果的サポート、ベスト3

あまりにもたくさんあるので、今回は効果的だったベスト3を紹介しましょう。

一番効果があったのは、ジムでのワークアウトをサボったあと、次に戻ってきた時にわずかなご褒美(ボーナスポイント)を与えることでした。本当にわずかで0.1ドル相当(10円くらい)でした。それにもかかわらず、コントロール条件(注1)に比べ週に0.4回もジム通いの回数が増えたのです。1人当たり4週間でせいぜい数十円しかコストがかからないのに、大きな効果がありました。

連続してサボると、継続が難しくなるのでそれを避けるためにも、効果的な方法です。

2番目に効果的だったのは、ジムに行くごと多めのボーナスポイントを与えることでした。毎回、1.75ドル(日本で200円弱)を貰えるのでなかなかです。これで週に0.37回ジムに行く回数が増えました。ただし、こちらはサボった後のご褒美に比べるとだいぶコストがかかります。一人当たり4週間で2000円くらいかかります。サボった後のご褒美を30円程度とするなら70倍近いコストです。

3番目に効果があったのは、「みんなやってるよ」と社会的規範に訴えることでした。これで週に0.35回ジムに行く回数が増えました。これにはコストが全くかかりません。なかなかお得です。

これらの方法は、ジムの経営者や政府・自治体が実施する手法に焦点を当てたので、運動をする本人がそのままは実行できませんが、ちょっと視点を変えると、応用できるかもしれません。例えば、1回サボっても自分を責めすぎず、サボった後に戻ってきたら自分に小さなご褒美を与えると良いかもしれません

なお、サボった後に戻ってきたときのご褒美と「みんなやってるよ」と社会的規範に訴えることは、両方同時に行うことができます。合わせるとさらに効果が上がりますから、上手く組み合わせるとさらに良いかもしれませんね。

運動を続けるのは大変ですが、上手く工夫をして楽しく続けたいですね。道場やジムを経営なさっている方は、会員の方が長く続けることができるよう、ご指導をよろしくお願いします。

引用文献

・Sperandei, S., Vieira, M. C., & Reis, A. C. (2016). Adherence to physical activity in an unsupervised setting: Explanatory variables for high attrition rates among fitness center members. Journal of science and medicine in sport, 19(11), 916–920.

・Milkman, K. L., Gromet, D., Ho, H., Kay, J. S., Lee, T. W., Pandiloski, P., ... & Duckworth, A. L. (2021). Megastudies improve the impact of applied behavioural science. Nature, 600(7889), 478-483.

注1:コントロール群は、研究に参加することで1500ボーナスポイント(およそ1ドルに相当)を受け取りました。


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