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試合のために減量する?しない?

ブラジリアン柔術では、体重、年齢、習熟度(帯)など細かくカテゴリーを分けて試合をします。格闘技は直接のコンタクトがある競技のため、体重の影響がとても大きい。そのため減量が有利に働く場合があります。プロボクシングやオリンピックの柔道、レスリングなどハイレベルな格闘技選手が減量する姿は報道やインターネットなどでもおなじみですね。

最近になりブラジリアン柔術の試合も、徐々に再開されてきました。さて、趣味で柔術をやっているひとたちは、どのくらい試合のために減量し、どんな方法をとっているのでしょう?

試合会場で減量についてたずねた

WhiteとKirkはブラジリアン柔術の大会に参加した人全員に減量についてアンケート形式で質問をしました。イギリスで行われた小さな大会で、参加者のほとんどが柔術を趣味として楽しむ人たちです。参加者は全員で125人、回答が不十分だった10人を除いて115人のデータを分析しました。ちなみにほとんどが男性でした(男性108名)。

参加者の平均体重は通常時で80.5 kg、平均年齢は29. 3歳でした。日本の平均より体重は10 kg以上重そうです。年齢は5歳くらい若いかもしれません。

60%くらいの参加者が減量する

急激な減量は健康に悪影響を与えます。その悪影響を抑えるためONE FC(MMAの団体)では水分だけで体重を減らすいわゆる水抜きを過度にさせないよう、試合3時間前に最計量をしたり、尿比重を調べたりして、体内の水分をチェックします。ブラジリアン柔術の試合前計量は直前に行われるため、過度な水抜きをするひとは稀です。とはいえ、1週間くらいの期間で大きく体重を落とすひとはそれなりにいます。

WhiteとKirkが1週間での急激な減量を行なったかたずねたところ、59%の参加者が行なったと回答しました。実際、急激に減量した人たちの平均体重は78.9 kg、しなかった人たちでは83.0 kgでした。ちなみに急激に減量をしたと答えたひとたちに、平均でどれくらい減らしたのか尋ねたところ1.9 kgでした。これは体重の2.3%にあたります。ものすごい減量をしているわけではないことがわかります。

なお、急激な減量で、最大どれくらい落としたことがあるか尋ねたところ平均で6.3 kgでした。平均体重からするとおよそ6.3%の体重減にあたります。ここまでやるのはかなりキツく、かつ、パフォーマンスにも悪影響が出てきます。

どうやって減量する?

減量をする人たちにさらに尋ねたところ、およそ2週間前に始める人が31%、およそ1週間前にはじめるひとが34%、直前(0−2日前)のひとが16%でした。多くの人が短期間で減量していることがわかりました。

大抵の人が食事と運動で体重をコントロールしていました。食事の量を減らしたり、1食抜いたり、ちょっと多めに練習したりといった感じです。日本と同じですね。

まとめ

イギリスのデータなので日本と全く同じではないかもしれませんが、趣味でやっている人の場合は、試合に向けて体重の2%くらいを比較的短時間で落とすのが平均的な減量なようです。これくらいならパフォーマンスに大きな影響もでないし無理なくできると考えられます。趣味でやっている競技者ですと、短期間での減量は、せいぜいこのあたりを目安にするのが良さそうです。もっと落としたい場合には長い時間をかけて計画的にやることをお勧めします。

また、およそ4割のひとは減量をしないという結果でした。データをみたところ40代以上ではしないひとがほとんどでした。日本ですと40代でも体重を落とす人がそれなりにいる印象なので、この辺はちょっと違うかもしれません。とはいえ、急激な減量は40代を超えるといろいろ不調に結びつくので気をつけてください。特に水分調整を間違えると痛風発作につながります。痛風発作はヤバいです。超痛い(経験者談)。

引用文献

・White, T., & Kirk, C. (2021). Pre-competition body mass loss characteristics of Brazilian jiu-jitsu competitors in the United Kingdom. Nutrition and Health, 0260106020983800.

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