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2022年に読んだ本まとめ

2018年から毎年まとめている読書録も5回目。読書録は振り返りになるので、何だかんだ続いている。昨年は16冊。今年は18冊(漫画たちはシリーズ全部で1冊としてカウント)

2022年はとにかくリズムが崩れてしまい、何をしてもうまくいかない苦しい一年だった。「リズムが崩れてしまい」と書いたが、最初からリズムも何も、そもそも型がないなかで、仲間の差し伸べてくれる手を借りながら何とかやっていけただけ。とはいえ、ただおんぶに抱っこではなく、自分なりにもがきながらやってきた。読書録からはそんな様子も感じられる。
それではいってみよう!

新版 日本語の作文技術 / 本多勝一

同僚の勧めで読んだ。こういった類の本は昨年も読んだが、説明の仕方が特にしっくりきた。文法的に正しくても読みにくい文章を、視覚的に構造を示してくれる。
古い本ではあるが、有益だった。
23年はこれを実践で活かす。具体的には、編集の際、わかりにくい箇所について本に記載の構造分析を試す。

京大式サイエンスの創り方 / 京都大学大学院理学研究科MACS教育プログラム実行委員会

数学の世界的な研究所RIMSがある京都大学。次に紹介する「数学であそぼ。」でも描かれているが、京大では理学部生のうちは、専門がない。大学院に進学するときに先行を選ぶが、それまではオールラウンダーとして学ぶ。
そんな京都大学大学院理学研究科では、前人未想の研究ができる人材をどのように育成するのかを、MACS教育プログラムと銘打って取り組んでいる。何が起こるか予想ができない、という内容で文科省に予算申請をしたというストーリーが語られていて、気鋭の研究者集団としての姿勢に感動した。
ちなみに、MACS教育プログラムは「数理を基盤として新分野の自発的創出を促す理学教育プログラム」の略称である。
「読者のみなさんへ」という「はじめに」に該当する部分で、このプログラム委員長の坂上先生によって語られた「知の航海」にとてもワクワクした。
もう少し読み深めたい。
23年、私はどんなゴールを夢見て航海していくのか。書き記して見える範囲での地図を描いてから、1/4からの仕事に取り掛かる。

数字であそぼ。 1-8 / 絹田村子

仕事を一緒にしている方から教えてもらった漫画。吉田大学を舞台に繰り広げられる数学を学ぶ苦しさと面白さがよく描かれていて、とても面白い上に、懐かしさも感じる。

分析モデル入門 / 杉山聡

数学専攻の大学院を修了後、培った専門性をベンチャーで発揮している著者の杉山さん。仕事で取材したことがあるがそのストイックさに驚いた。
そんな杉山さんが出した本は当然気になってしまい、購入。届いて分かったが分厚い。じっくり取り組む時間を作りたいものだが、なかなか難しそうだ。辞書的に使うことが可能かと思う。

社会に最先端の数学が求められるワケ(2) データ分析と数学の可能性 / 高島洋典,吉脇理雄,杉山真吾,横山俊一

著者には現れていないが、仕事で取材した早水先生がディスカッションしている座談会が読みたくて購入。読んで驚いたのは、これまで工学部にも数学者の先生がいたのが、コンピュータの高度化に伴っていなくなってしまったという若山先生の言葉。その影響か、科学政策を議論する場において、数理や数学という言葉が一切交わされていないという。
数理科学者と工学者が完全に分断されているというのは、大きな課題だと感じた。
これこそ、私が挑むテーマであると、改めて再確認した。23年は分断された2者、あるいは多者を融合させ、科学技術の発展を加速させる。

いかに生き、いかに学ぶか 若者と語る / 遠山啓

何度も読んでしまう遠山啓の著書の一つ。若者と語る手段は手紙である。スローペースながら、若者である女子中学生と遠山先生との対話が進む。この中で少女が心の成長を遂げる。こうした遠山先生のメンター(スキルではなく、心の成長を促す人)としての在り方を自分も体現したいと思った。
そのためにはまだまだ経験が足りないし、持論が足りない。
これを読んで、アウトプットをもっと増やしていこうと思った。Twitterでもなんでも良いが、とにかくアウトプットし、そこに自分の考えを乗せるということを23年はやるぞ。

数学ゴールデン 1-4  / 藏丸竜彦

数学漫画として、知っていたが避けていたものを、「数字であそぼ。」を読破した勢いでこちらも最新刊まで読破。避けていた理由は「数学オリンピック」というのがあまり好きではないからだ。どこか「数学」は「計算」と「証明」が全てだと主張しているように感じられるからだ。完全に偏見なのだと思うが、もっと数学は自由なもので、自己の内なるものを表出するものであってほしいと私は考えていて、それを問題という括りの中で計算と証明で競うスタイルがどうも好きになれない。
この漫画を読んでみてその印象は少し変わった。数オリを始めとした問題は、日頃の数学行為をもってお題に挑むというくらいのイメージで捉えて良いのかもしれない。

かおりの生態学: 葉の香りがつなげる生き物たち / 塩尻かおり

今の仕事に就いて、人間の精巧さに感動したのだけれど、植物の精巧さにも感動した。仕事で出会った塩尻先生の著書。植物は周囲の環境と会話をしながら生き抜いている様子が実験系も含めて書かれていて面白かった。
タイミング良くNHKスペシャル「超・進化論」の第1集に塩尻先生も協力しているとのことで、合わせて内容の理解が進み、感動もより一層感じた。

数学は(物理的な現象から昇華されたものではあるが)理論という物理的に実態を持たないものを扱っているので、こうしたモノを扱っている研究成果を知るのはとてもおもしろい。

パーパスモデル / 吉備友理恵,近藤哲朗

ビジネス書で結構面白かったのは、このパーパスモデル。大阪にあるTHE DECKというコワーキングスペースを運営する森澤さんからのおすすめ著書だ。
最近、仕事でプロジェクトの作り方、デザインの仕方を学んだということもあるが、その基本形はこのパーパスを中心とした各ステークホルダーの共感構造をつくることだ。
23年の私のテーマである「ゴールを示し、仲間をつくる」を実現するために、今私に足りないのはそのゴールを定める力とそのゴールをメンバーに理解させる力だ。この2つを補うために、このフレームワークはとても使えると感じている。
23年は実際にパーパスモデルを組みながら、どのようにメンバーを仲間にしていくのか、挑戦する。

探偵AIのリアル・ディープラーニング / 早坂吝

犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー―探偵AI 2 / 早坂吝

四元館の殺人―探偵AIのリアル・ディープラーニング― 3 / 早坂吝

このシリーズは、職場の先輩から教えてもらったもの。面白すぎて一気に読めた。ザ・ライトノベル。AIや機械学習の限界がテーマにもなっていて、深入りすることなくイメージが湧いた。

コンビニ人間 / 村田沙耶香

かつての話題作を今更読破。普通とはなにか、というこれまで私も考えてきたテーマに触れる内容でとてもおもしろかった。通勤時間に一気読みした。

運転者 / 村田沙耶香

コンビニ人間読破の流れでもう一冊手を出した。とにかく泣ける内容で、通勤中に涙目になりながら読んだ。

失はれる物語 / 乙一

運転者読破の流れで乙一に手を出した。これも泣ける一冊。複数話収録されていて、これも通勤電車内で一気読み。

メタアーキテクト──次世代のための建築 / 秋吉浩気

こちらは購入したが積読状態。楽しみではあるが、22年は終わってしまった。

建築家の解体 / 秋吉浩気

こちらも購入したが積読状態。楽しみではあるが、22年は終わってしまった。

ポジティブ心理学の挑戦 / マーティン・セリグマン

これは途中で読むのを諦めてしまったので、内容についてはほとんど記憶していない。

さいごに

最後の3冊は載せなくても良かったのかなと思いつつ、23年には読むぞという決意で掲載。秋吉さんの著書は本当に楽しみだったが、心の余裕なく読めず。

21年は事業化や起業についての本が多かったが、22年は漫画や小説の割合が増えた。数理科学系の本にも手を出しているのも特徴である。感情を揺さぶられる本を読んだりして、精神的に一杯一杯だった様子も伺えるが、今回の簡易なレビューにも書いた通り、数理科学と異分野融合を促進するプロジェクトを仕掛けていく。そのために、いろいろインプットをした一年だった。

23年こそ勝負。

これまでの読んだ本まとめ


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