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そんなことまで!?「鳩の巣論法」の威力を味わってみよう!

こんにちは。和からの数学講師の岡本です。前回に引き続き「鳩の巣論法」の威力について語っていきたいと思います!

この記事の主な内容

1.鳩の巣論法(復習)

まずは、「鳩の巣論法」について復習から入っていきましょう。

(鳩の巣論法)
n個の玉をm個の箱に入れる作業を考える。もし、n>mであるならば、2つ以上の玉が入った箱が必ず存在する。

つまり、「人数よりも空いている部屋が少なかった場合、相部屋が起こる」という原理が「鳩の巣論法」でした。それでは、「鳩の巣論法」を使って様々な問題を説明していきましょう。

2.鳩の巣論法の応用1「必ず同じ血液型の人はいる?」

・適当に選んだ5人に中には必ず同じ血液型の人がいる。

これは非常に明解ですね!血液型はA, B, O, ABの4種類です。5>4なので、5人が「Aの部屋」~「Oの部屋」に入ってもらうと考えると、必ず相部屋が起こります。したがって同じ血液型のペアの存在が保証されます。

3.鳩の巣論法の応用2「中点が格子点になるようなペアは存在する?」

・平面上の格子点を適当に5つ選ぶと、中点が格子点にくるような2つに点が必ず存在する。

ここで、「格子点」とは、x座標,y座標がともに整数であるような点の事をいい、中点とは2つの点の中間の点のこといい、(x1,y1)と(x2,y2)の中点は(x1+x22,y1+y22)で表せます。実はこの問題、過去に某有名私立大学の入試問題として出題されています!しかし、鳩の力を借りることで、一瞬で解けてしまいます!「格子点」には4種類あることをおさえましょう。「(偶数, 偶数)」「(偶数, 奇数)」「(奇数, 偶数)」「(奇数, 奇数)」の4種類です。先ほどの血液型の問題と同様に5>4なので、必ず同じタイプの格子点のペアが存在します。奇数+奇数=偶数、偶数+偶数=偶数なので、同じタイプであればその和は偶数となり2で割り切れるので、中点は格子点となります!したがって証明が完了しました!

4.鳩の巣論法の応用3「狭い部屋ではソーシャルディスタンスが守れないことの証明」

・1辺の長さが2mの正方形の部屋に5人を配置すると、距離が2–√m以下のペアが必ず存在する。

これは面白い問題です。この結果を応用すれば、一定の広さのエレベーター内で「ソーシャルディスタンス」を保つように人数の上限を求めることもできるのです!では説明していきましょう。

上の図のように人を点として考えます。部屋を4等分割すると、鳩の巣論法により、必ず同じエリアに入ってしまうペアが現れます。小さい正方形内の一番遠い距離は対角線の2–√mなので、同じ小さい正方形内に入っていれば、どうやっても2人の距離は2–√m以下となってしまいます!「鳩の巣論法」、すごいですね!


5.さいごに

いかがでしたでしょうか?今回は前回に引き続き「鳩の巣論法」の応用についていくつか説明してきました。通常1つ1つ調査をしなければならないことも、この論法を使うことであっという間に説明ができてしまうので数学の研究だけでなく、ビジネスや日常生活でも威力を発揮することがあります。

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<文/岡本健太郎>



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