整数病~数学嫌いのルーツを探る~
整数病とは
240m/分で80m進むには何分かかるかという問題があったとします
答えは当然 240÷80=3 3分
残念、間違いです。人に教えたことがある人ならばこの経験は1度はしたことがあるのではないのでしょうか。
正解は 80÷240=1/3 1/3分 です
塾で教えていると、ぱっと見は問題が解けているのですが、よくよく聞いてみると何も分かっていないということが多々あります。
なぜこれが起きるのかというと、彼らの論理では今までの経験上、答えはだいたい整数になるというものがあってそうなるようになんとなく式を作っているのです。
他に有名な問題ですが
ボールペンと消しゴムの値段は合わせて110円。 ボールペンは消しゴムより100円高い。 では、消しゴムの値段は?
110-100=10 10円
残念、答えは5円です
110▢100
これも頭の中でこの式に四則演算のどれをいれるのか考えるのです。うーんなんだろう?差っぽいからマイナス!
ではこれらの何が問題かというと
適当に問題中の数字をなんやかんやしたら答え出るやろ!
というものになります。
これを整数病と呼んでいます。
病気というとネガティブな印象を持つ方もいるかもしれませんが、おたふく風邪のようなものです。1度は誰でもなるもので治せばいいものなのです
整数病の処方箋
整数病は数学嫌いの諸悪の根源のようなもので、非常に治すのが困難なものになります。これだ!というものはありませんが僕が行ってきたいくらかの試みを提示していきたいと思います。
ラグを入れる
数字が2つしかないから適当に組み合わせるのです。だったら使わない数字を2,3個入れればいいじゃないという案。
例えばリンゴが3個、ミカンが2個、ニンジンが3本、さて果物は何個でしょう
みたいなものです。この場合はニンジンは使いませんよね。
欠点を一つ挙げます
徒歩で280m/分、自転車で720m/分、自転車で3分走ると何m進みますか。
これは極端な例ですが、この場合多くの方が正解し、ラグが機能しません。
自転車か…近くに720ってあるやんけ!3掛けたろ!(余談ですが720と3では掛け算するよりも割り算する方が多いので240という誤答が非常に多く出ます)
なぜ?フェイク
どうしてそう考えたの?と聞きます。
720×3=2160 と答えたとして
少なくない生徒の答えが
「割る?」と聞いてきます。
彼らの中でなぜと聞かれることは間違いを意味し、正解を出さなければならないとう考えから回答をかえるのです。合っているのにも関わらず!
これの責任は教える側にあるといえるでしょう。
だって合っているときはなぜ?と聞かないからです。(学校でやると当然授業が進まず、1対2の個別ですら授業が進まないので仕方ないところではありますが)
人間というものは非常に強かで2,3個の経験から仮説をでっち上げます。それを実際に使ってみて合っていれば真理として採用されるのです。(これは人間の言語習得に必要なもので本能的な性質であり、決して悪いことではありません)
これらの問題に対する答えが合っていても「なぜ?」と聞いていくことです。
少なくとも間違えの数と同じくらい合っていてもなぜ?と聞く必要があると思います。(根拠なし)
分数を答えにする
文字通りです。ちなみに根本的な解決にはあまりなりませんでした。
なぜかというと
「先生の作る問題って分数が答えになること多いよね」と言われました・・・
僕の作る問題と、問題集の問題でちゃんと場合分けをして解いていたのです。
その類推を数学に使え!と言いたいところですが、非常に関心を持ったのを覚えています。
帰納的推論は得意だが演繹は苦手としているのです。そして数学は演繹の要素が多いのです。
終わりに
数学をできない子を馬鹿と断ずる人をちらほら見かけます。しかし、それをよく観察してみると彼らには彼らの論理、認識が隠されています。そこを一つ一つ知ろうとすることを忘れないようにしたいものです。
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