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インド式かけ算を、中学数学で説明する

前回の記事で、かけ算の筆算は、かける数を足し算の形にした「分配法則」をシステム化したものだということを説明しました。

前回の記事はこちら↓


ただし、私たちの頭の中に染み付いているかけ算の筆算は、いつも「かける数だけ」を足し算の形にします。

それは、かけ算の筆算のマニュアル上仕方のないことではありますが、今回は「面白いかけ算の筆算」ということで、

かける数・かけられる数の両方を足し算の形にしたかけ算の筆算

これをあえてやってみようと思います。

最後まで読んでいただけると嬉しいです。


▷ かける数・かけられる数の両方を足し算の形にする

さて、宣言通りかけられる数も足し算の形にしていきます。


その前にかける数だけを足し算の形にしたものがこちら↓


かけられる数も足し算の形にすると次のようになります。

これを、例のごとく分配法則で展開します。


さあ、本題です。


これを筆算に落とし込むとどうなりますか?

ヒント:かけ算の筆算では、「0」は1マス左へずらします(前回の記事)


前回の記事の最後で少しお見せしましたが、正解は次のようになります。

2行目の2□□は1行目に書いてしまっても構いません。

むしろ、そちらの方が見栄えとしてはいいです。

それでは、この筆算のやり方をシステム化してみましょう。



▷ “縦・縦・斜め・斜め”

キーワードは、“縦・縦・斜め・斜め”
とてもシンプルです。

画像の筆算で進めていきます。


【1】右縦をかける

まず右縦をかけ算し、右づめで書きます。


【2】左縦をかける

次は左縦をかけ、2マス空けて書きます。

2マス空ける理由は先ほど説明しましたが、2つの「0」が入るからです。

左縦のかけ算は十の位どうしのかけ算なので、必ず語尾に0が2つ並びます。

なので、右縦のかけ算の結果が1けたになった場合は、1マス空けて(0を埋めて)書くように気をつけましょう。


【3】斜め

次は斜めをかけ、1マス空けて書きます。

※左斜め・右斜めの順番はどちらでも構いません


【4】斜め

次は、先ほどとは逆の斜めをかけ、同じように1マス空けて書きます。

かけ算を4回したら、あとは足すだけです。
(分配法則の展開では4つの項の和の形になりましたね)


【5】足す

普通の筆算と同じように全て足します。

これにて終了です。


最後にもう一度確認します。

キーワードは

縦・縦・斜め・斜め

です。




▷ この筆算のメリット

一通りの流れを確認したところで、この筆算のメリットを考えてみましょう。


一見ただの遊び心でしかないように見えるこの筆算にも、実はメリットがあります。

それは、

かけ算の工程で繰り上がりを考えなくて良い点

です。

この筆算は、かけ算の結果を書き並べるだけで良いので、繰り上がりを考える必要がありません。

微差ではありますが、中には繰り上がりの計算を苦手としている人もいると思います。

そんな人はぜひ、遊び感覚からでもいいので使ってみてください。




▷ 最後に

ここまで読んでいただきありがとうございました。

かけ算の筆算のしくみを理解することで、さらに深掘りした視点での筆算や、計算の工夫につなげることができましたね。


以前、二次方程式の平面上での意味についても記事にしましたが、根本的な理解は時として単元をも飛び越えて実を結びます。

それは、数学が単元と単元のつながりが強い科目であるためです。

だからこそ、数学は特に基礎の理解が重要になります。

「理解」というのは単なる「覚えた」ではなく、「腑に落とす」ことです。



私の記事は、読んでいただいた皆さんに「なるほど、そう言うことか」と腑に落としていただけるよう、意識して書いています。


今後も、「数学脳を育てるための思考」を、様々なテーマに沿って紹介していくつもりです。


ぜひ今後の記事をフォローしてお持ちいただけると幸いです。

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