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【カルト】竹熊健太郎メルカリ解説文集

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#鈴木清順

【鈴木清順大正三部作③】「夢二 デラックス版」('91荒戸源次郎事務所)

【鈴木清順大正三部作③】「夢二 デラックス版」('91荒戸源次郎事務所)

鈴木清順大正三部作第三弾は竹久夢二を主人公にした作品。夢二を演じるのは沢田研二です。

清順映画でストーリーを説明するのはちょっと意味がないというか、野暮な感じがしますね。そもそも作者に物語への関心が希薄に感じるからです。それよりも「絵作り」ですね。印象的で美しい画面さえ出来るなら、ストーリーなんてどうでも良いと考えていたのかもしれません。

今回は竹久夢二がさまざまな女性の間を遍歴するんですが、

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【鈴木清順大正三部作②】「陽炎座 デラックス版」('81シネマプラセット)

【鈴木清順大正三部作②】「陽炎座 デラックス版」('81シネマプラセット)

「ツィゴイネルワイゼン」が予想外の当たりを取り、銀色のドームだけの興行だったものが普通の映画館でもやるようになって、たまたま始まった第一回東京国際映画祭でグランプリを獲ってしまい、表舞台に復帰した鈴木清順。

前作の3倍の製作費がかけられるようになって撮ったのが「陽炎座」です。前作の原作は内田百閒「サラサーテの盤」でしたが、今度は泉鏡花。とはいえ原作の影も形もないくらい清順アレンジが施されておりま

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【鈴木清順大正三部作①】「ツィゴイネルワイゼン デラックス版」('80)

【鈴木清順大正三部作①】「ツィゴイネルワイゼン デラックス版」('80)

鈴木清順という監督は「慣れると美味しいくさやの干物」みたいな監督で、メチャクチャ癖が強い監督なんですよ。どういう癖か? と問われると困ってしまうんですが。

それで、本人の癖が「良い方」に転ぶと「清順美学」なんて言われて、よく分からないながらも「美しい映画だなあ」と思われるんですが、その「美学」を期待して次の作品を観ると「なんだこの映画?」と疑問符がつくような「魔球」を投げてくるんです。

私は長

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