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瑠璃の囀り

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青果店の店員として働く「青沼さん」と、大学生の「私」との交流を描く小説です。
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#異界駅

【小説】瑠璃の囀り 第4話「電車」

【小説】瑠璃の囀り 第4話「電車」

 夏休み。隣町に住む祖母に逢いに行くため電車に乗り込むと、青沼さんがクーラーボックスを抱えて座席に座っているのが見えた。
「あ、青沼さん!」
 青沼さんはこちらを見て少し口を開いた後、柔らかい笑みを浮かべた。
「ここでお会いできて嬉しいです。驚きました」
「私もびっくりしました……お隣、よろしいですか?」
「ええ。どうぞ」
 私は青沼さんの隣に座った。電車が動き出す。
「……それ、何が入ってるんで

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