SF小説「高校電力」
いつからだろう。
私たち高校生が〝電力〟になっちゃうのが決まったのって。
どうあがいたって、しょうがないのかな…。
それとも…?
私たち、高校生は、まあどこにでもあるような田舎の高校の三年生だ。
そろそろ進路先もしぼらないとイケナイ時期だけど、
特に将来やりたいことがあるって訳でもない。
そんな時だ、担任の先生から呼び出されたのは。
最初、何言われるかとドキドキしたけれど…。
「お前、進路に迷ってんだろ?だったら〝電力〟になってみないか?」
そんなこと唐突に言われても事態がよく飲み込めなかったけど…。
でも何故か私は冷静に
「ハイ…。でも家族とかに相談してからちゃんと返事してもいいですか?」
とだけ答えた。
そう言うことで、私の中で何かホッとしたような何かが定まったような気がした。
夕方。
友達と二人、いつものような口調で〝例〟のことを
しゃべった。
「えっ…!?アンタ、〝電力〟になるの?奇遇!奇遇!私もなんだ!」
と告げられたので余計に私の気持ちが定まった、
かのようだった…。
夜。
家族の食事時、珍しく父さんが早く帰ってきていたので、
妹と母さんが夕食の準備していたタイミングで話を切り出した。
「ねえ…父さん。将来のこと、あんまし話していなかったけど…私…」
と、そこまで言った時点で父さんが
「何だ?〝電力〟にでもなるのか?」
と見透かされたかのように言われた。
すると、その場にいた母さんも妹も一瞬で凍りつき
一生の中で最もマズイ夕食となった。
そして、その日は来た。
〝電力〟になる朝だ。
私の予定日は本来もっと遅い日程だったが…。
それよりも早くに〝電力〟になった友達の最後の
言葉が忘れられない。
私もそんなことを家族にだけは言っておこうと
思ったけど、辞めておいた。
家族が思い出す度に辛くなるだろうし。
そんじゃあ、誰かのところで役に立つといいな。
「ん~、ビリビリビリビリ~!」
完。
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