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わたしを離さないで

好きな小説家を3名に絞れと言われれば私は間違いなくカズオイシグロ氏を挙げる。「日の名残り」は何度も読み返している愛読書となっている。

今回は、そんなカズオイシグロ氏の代表作のひとつ「わたしを離さないで」を紹介したい。

本作の主人公は、優秀な介護人キャシー・H。彼女は「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設ヘールシャムの親友トミーやルースも提供者だった。

キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく…

外界から隔絶した寄宿学校ヘールシャムは、他人に臓器を“提供"するために生まれてきた〈特別な存在〉を育てる施設。キャシー、ルース、トミーは、そこで小さい頃から一緒に過ごしてきた。

しかしルースとトミーが恋仲になったことから、トミーに想いを寄せていたキャシーは二人のもとを離れ、3人の絆は壊れてしまう。やがて、彼らに逃れようのない過酷な運命が近づく。ルースの“提供"が始まる頃、3人は思わぬ再会を果たすが……。

ヘールシャムの生徒達は結局は臓器を提供するために生かされている提供者であり、結婚をして家庭を持ったり、提供者・介護者以外の仕事に就くといったことはない。

これでは死刑囚と同じではないかと考えていたが、生まれた時から可能性は閉ざされており、だからこそキャシーたちはその事実を嘆くこともない。そしてヘールシャムの教師たちは、時に生徒たちに向き合うことができず去っていく。

この辺りの描写は理解できないところではあったので、本書は是非2回読むことをおススメしたい。


また、DVDも発売されており、原作に忠実なつくりになっている。

【キャスト&スタッフ】
キャシー…キャリー・マリガン(三ッ木 勇気)
トミー…アンドリュー・ガーフィールド(石母田 史朗)
ルース…キーラ・ナイトレイ(弓場沙織)
校長先生…シャーロット・ランプリング(弥永和子)
監督:マーク・ロマネク
脚本:アレックス・ガーランド
原作:カズオ・イシグロ
製作総指揮:アレックス・ガーランド/カズオ・イシグロ/テッサ・ロス

外界から隔絶した寄宿学校ヘールシャムは、他人に臓器を“提供”するために生まれてきた〈特別な存在〉を育てる施設。キャシー、ルース、トミーは、そこで小さい頃から一緒に過ごしてきた。しかしルースとトミーが恋仲になったことから、トミーに想いを寄せていたキャシーは二人のもとを離れ、3人の絆は壊れてしまう。やがて、彼らに逃れようのない過酷な運命が近づく。ルースの“提供”が始まる頃、3人は思わぬ再会を果たすが……。


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