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好きな小説家ベスト3に入るノーベル文学賞を受賞したカズオイシグロ氏の代表作である。

本書の内容は、品格ある執事の道を追求し続けてきたスティーブンスが、短い旅に出る話だ。しかし、これは大英帝国の栄光が失せた今日のイギリスを風刺しているようだった。

執事という制度は日本ではあまり馴染みがなく、映画で知るのみだが、スティーブンスの執事としての姿に敬服するばかりだ。父であり執事でもあるウィリアムとの話、女中頭のミス・ケントンとの話、ダーリントン卿の栄光から没落への話などが絡められ、執事としても時代の流れの中でも歴史を重ね、それが回顧されるきっかけとなった小旅行中でさえも、執事とはと職務に忠実な姿が、逆に切なくも映った。

イシグロ氏は執事、女中頭、貴族を優しさのこもった文筆で描きながら、彼らの悲劇を物語っていくと同時に、ユーモアを混ぜ入れているあたりが見事だ。

美しい田園風景の道すがら様々な思い出がよぎる。長年仕えたダーリントン卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々―過ぎ去りし思い出は、輝きを増して胸のなかで生き続ける。失われつつある伝統的な英国を描いて世界中で大きな感動を呼んだ英国最高の文学賞、ブッカー賞受賞作。

また映画化もされており、アンソニー・ホプキンズが主演だ。ホプキンズといえばバットマンでも執事やってたよね!もう執事って言ったらあのイメージだ。

1958年。
ダーリントン邸の老執事スティーブンスのもとに、以前共に屋敷で働いていた女性ミス・ケントンから一通の手紙が届く。
懐かしさに駆られる彼の胸に20年前の思い出が蘇る。
当時、主人に対して常に忠実なスティーブンスと勝気なケントンは仕事上の対立を繰り返していた。
二人には互いへの思慕の情が少しずつ芽生えていたが、仕事を最優先するスティーブンスがそれに気づくはずもなかった。
そんな中、ケントンに結婚話が持ち上がる。
それを知ったスティーブンスは激しく動揺するが・・・。
<キャスト>
スティーブンス:アンソニー・ホプキンズ
ミス・ケントン:エマ・トンプソン
ダーリントン卿:ジェームズ・フォックス
ルイス:クリストファー・リーヴ
カーディナル:ヒュー・グラント

俳優陣を見ただけでも生唾もの!これは必見だな。



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