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【美術展2024#56】石田尚志 絵と窓の間@神奈川県立近代美術館 葉山館

会期:2024年7月13日(土)〜9月28日(土)

石田尚志は、自らが描く絵画を連続的に撮影する手法で制作した映像作品により1990年代から国内外で評価されてきました。
時間芸術への窓ともいえる「映像」、その画面には、生成と変容を続ける絵画、場の光や闇がもたらす空間の質的な変化、そして画家の思考の軌跡が残されています。映像と空間、あるいは立体造形とともに構成されるインスタレーションへの展開を経て、近年の石田は10代以来となるカンヴァスに絵筆を走らせ、空間と時間を“静止した平面”に描き表すことに再び取り組んでいます。2015年以来の大規模な個展となる本展では、代表作と新作を中心に初公開の作品も多く紹介し、石田尚志の仕事を再考します。

神奈川県立近代美術館



線を引く。
写真を撮る。
また線を引く。
そして写真を撮る。

室内に入り込む光と共に刻一刻と移り変わっていく作品。
果てしなく続く作業を繋ぎ合わせて時間を彫刻するように一つの映像に紡いでいく。

いわゆるストップモーションアニメーション(コマ撮り)だが、その工程はとてつもなく手間がかかっている。

《弧上の光》



平面作品と立体作品が共に意思を持ったように変化し増殖し続ける。

《庭の外》



鮮烈な青が空間を縦横無尽に行き来する。
窓から差し込む光に反応するように、
印画紙に焼き付けられるように、
光から逃げるように、
光と溶け合うように、
影に隠れるように、
闇の中で蠢くように、

《絵と窓の間》



写真と文字ではこの世界観は表せない。
ぜひ映像をご覧いただきたい。

・東京都現代美術館

・横浜美術館



会場には中学生の頃に描いた絵も展示されていた。

《バベルの塔》
《バベルの塔》部分

絵の具がひび割れて剥離寸前の状態。
直前の映像を見てからこの絵を見ると、まさにひびの中から新しい線が生まれて絵を塗り替えていくような瞬間にも見えた。


公開制作中の作品も。
私が行った日は残念ながら作家不在だったがタイミングが合えば制作風景に立ち会えるだろう。

公開制作中
Canon EOS 5D MarkⅢ



幼少の頃の絵も展示されていた。
ウゴウゴルーガのキャラクターみたい(石田氏の方がそれより十何年も昔だが)。



映像というマチエールのない世界でも執拗なまでのその作業の痕跡は画面を通り越してひしひしと伝わってきた。

髙橋龍太郎コレクション」にも作品が蒐集され、現在東京都現代美術館で行われている「日本現代美術私観」でも小部屋で映像が流されていたが、あちらはスペースがキツキツだったので、もし時間があれば葉山まで足を伸ばすことをお勧めする。

《こけし》 イサム・ノグチ



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