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しょんぴん [ 松井昌平 ]
2015年1月28日 12:49
[2721文字] #小説 #短編 「インド人の作るカレーが必ずしも旨いとは限らぬ。」「はぁ?」弟子はまたこの師匠妙な事を言い出したなと思った。「もしくは、カレー好きのインド人だからこそ、他所のカレーは食えぬという場合もある。」自分の頭と椅子の背もたれを同時に抱え込む様にして座っていた弟子は、ここに来た事を少し後悔し始めていた。「なんの話ですかそれ、僕はただ女心が分らないと言ってるだけ
2015年1月23日 00:51
[3066文字] #小説 #短編 一人と一匹が「さようなら」をしようとしていた。 「そろそろさようならだね。」「でもまだ、もう少し・・。」彼女の言葉がつまった瞬間、意志とは裏腹にひとすじの涙が頬を走った。不安がらせないように頑張っているつもりでも、やはりもう会えなくなると思えば我慢など出来るものではない。「もう一回一緒に散歩が出来たら・・。」彼女はあわてて言葉をつなげようとした
2015年1月3日 07:38
[3521文字] #小説 #短編 「何もかも卒業してはならぬ。」と師匠は酸っぱい顔をしながら言う。「へぇ〜、じゃぁ僕はいつまでたってもハンパなまんまじゃないですか。」弟子はそう言いながら、コイツ大丈夫か?といぶかった視線を師匠の横顔と、自らの腕時計へせわしく送った。師匠はこの弟子の視線に気付いたが、知らぬ顔で腕を組み昼下がりの明窓を見据えながら重々しく言う。「卒業無き修行にこそに、人生の