見出し画像

懐メロで振り返る人生も悪くない

クラシックギターの懐メロBGMが流れる医院で、検診の順番を待つ。心地良い音色に癒されながら、「この曲、久しぶりに聴いたなぁ」と昔を懐かしんだ。流行曲というのは、好き嫌いにかかわらず、当時の風景を鮮明に思い出すトリガーになる。流行りの曲は、コンビニや商店街など、そこかしこの街角で耳にするものだ。記憶に残る一場面の背景に偶然にでも流れていれば、思い出と一緒に丸ごとインプットされて、一生忘れない曲になる。

学生時代、音楽番組は全盛期。各局さまざまな番組を放送していたが、MステもカウントダウンTVも、あれもこれも毎週チェックした。そして、気に入った曲のCDを購入したり、レンタルCDをMDに落としたりして(懐かしすぎる)、流行りの音楽をどんどん上書きした。テストが終われば友人とカラオケに行き、お互いに練習した曲をひと通り歌うことも楽しみにしていた。

昔は常に音楽を帯同していた。部活に向かうとき、遊びに行くとき。出勤するとき、締め切りに追われているとき、仕事が実を結んで達成感を得たとき。それぞれのシーンで聴く曲があった。コアな音楽ファンではないが、気分に合わせて音楽を変えながら、自分を鼓舞したり、癒したりして、人生の荒波を乗り越えてきたように思う。

音楽をぱったり聴かなくなったのは、約10年前の出産後からだ。子どもが生まれ、移動時に音楽を聴くことがなくなった。家に居ても、子どもが好きそうな音楽やテレビばかりを選んで流すようになった。子どもが寝静まったあとは、子どもが起きているとできないことでタスクは山積み。音楽だけに集中して過ごす時間は失われた。お世話になるのはEテレで、音楽番組からも遠ざかる。それでも、街角でちらほら聴こえてくる曲だけは知っていた。

AKB48とかLDHグループとか、好きでも嫌いでもないが、5〜10年前に流れていた曲を聴くと、子育てのしんどい思い出が蘇る。努力して聴こうとしていなくても、記憶にしっかり刻まれているのが流行曲の凄いところ。AKB48のことは全然知らないけど、『365日の紙飛行機』を聴くと今でも涙がこみ上げる。

弟が入園した辺りから、音活(?)を始めるようになった。夜中にYouTubeを見漁り、気に入ったアーティストを探すというだけなのだが、以前から好きで観ていたヒゲダンやsuchmos、Nulbarichがメジャーになったのは、ちょっと嬉しかった。彼らの楽曲もいつかは思い出の一片として、記憶されるのだろう。おばちゃんが過ぎた頃にでも懐メロとして聴いたりして、「懐かしいなぁ」とボヤきながら、昔を慈しむのかもしれない。懐メロで振り返る人生、悪くないなぁと思う。

ちなみに、今日流れていたのは『TSUNAMI』『桜坂』『TRUE LOVE』『長い間』『Time goes by』。懐かしい〜!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?