見出し画像

将来、家電オタク間違いナシ

兄は赤ちゃんのときからプッシュボタンにご心酔だった。最初のターゲットはテレビのリモコン。ズリバイができるようになるとリモコンへ一直線。ギュッと握ると音量が超スピードで特大になるので、迷惑千万だった。ボタンを舐める行動もあり、大変に危険なので見えないところに追いやった。

次のターゲットはスマホ。鬼から電話(まだあるのかしら)とか、振ると赤ちゃんが寝てくれる音が流れるとかのアプリゲーム先駆けの時期で、私もそれなりにお世話になっていた。移動の際、静かにしていてほしいときに差し出すと、今や懐かしiPhoneのホームボタンを連打。アプリ内容よりボタンプッシュが楽しくてしょうがない様子だった。

2歳、毎朝9時前に2人で公園に出勤していた頃。ターゲットは街のコインパーキングの精算機だった。道中に精算機を見つけると、押さずにはいられない。イヤイヤ期も相まって、押すことをたしなめたら最後、街角でひっくり返って大声で泣いた。

コインパーキングは想像以上に街に存在している。「今日こそはコインパーキングに寄ることなく、駅まで真っ直ぐに向かいたい」と、切実に願ったある日。グーグルマップで道中の有無を調べ、かなりの遠回りをしてやっと駅に着くという段。最後の曲がり角を曲がったら、地図にないパーキングが現れたときには、膝からズコンと地獄へ落ちた。どこへ行くにも、到着するまでにげんなりしている時期だった。今では良い思い出だ。

そんな兄も成長し、小学生になる頃には興味が家電へと傾いた。ビデオデッキ、プリンター、加湿器、冷蔵庫、ロボット掃除機、エトセトラ。すべてリモコンやボタンで操作するものばかりである。引越しで家電が順々に新しくなったこともあり、暇を見つけては説明書を読み耽り、機械に不具合が起きれば知識を試すチャンスと、私に動作の指示を出すために駆け寄ってきた。
 
最近では、古いモデムを引っ張り出して繋ぎ、Wi-Fiが届きづらい部屋のzoom環境を良くしたりしている。生まれながらに好きなことってあるのだなと、生来一貫した興味に感心するばかりだ。

機械オンチの私には、非常に助かる存在である。今日は空気清浄機のお手入れを一緒に行い、私が2年放置した付属品を取り付けてくれた。聞くと何でも教えてくれるので、兄の勧める家電を購入するようにしているくらいだ。将来、家電オタク間違いナシ。家電量販店で働いたらいい仕事してくれそうですよ。

この記事が参加している募集

#育児日記

49,232件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?