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フランスお惣菜NIGHT、開催しました!

シューイチワインバー・スリーサウザンドにて、フランスお惣菜NIGHTを開催しました🎉

たくさんのお惣菜が!

いつもは美味しいワインと簡単な軽食だけのご提供となっている、我がシューイチバー。おかげさまで「食」に関しては、余白と伸びしろしかありません(いい風に言うた)

そんな「食」に関して遊びだらけの我がシューイチバーで、初の食コラボイベントを開催することとなりました。

その名も、フランスお惣菜NIGHT

わたしのお友達のお店である『惣菜スタンド Soil』のななシェフとのコラボで、フランス各地の家庭料理とその地域のワインをペアリングして楽しむ夜を企画したのでした、はじまる前から勝ち確じゃん(過言)

お惣菜の引き取りついでにSoilさんでお惣菜飲み。家を出たときからイベントは始まってるんですよ!

なにを隠そうわたくしますたや、「好きなワイン生産地はどこ?」と聞かれたら、さまざまな体裁や忖度、その場のウケ度合いを考えてしばし逡巡したのち、結局「そりゃあ、飲めるもんなら…ブルゴーニュですよね…」と答えてしまう、なんの面白みもないワイン好きです。ああ、つまらない人間に育ってしまった。

みなさんお気づきかもしれませんが、そういうわけでシューイチバー、普段からフランスワインのご提供が多めです。以前バーにいらしたお客さまから「ふくよかな樽のきいた白ワインありますか?」と聞かれて、「………ない!」と潔く答えるという事案が生じたことがありましたが(プロ失格)、わたしは本当はエレガント酸味スキー。いつだってフランスワインが飲みたいし、飲めるもんなら美味しいブルピノが飲みたいわけです、そう、なるべくひとの金で…

そんな大好きなフランスワインとフランスお惣菜のペアリングということで、今回は企画段階からすごく楽しみにしてました。ほんと、なんならちょっと鼻息荒かったくらい。ワインを選ぶ時間なんか、ほんとに幸福だった。ああ、どのワインをみんなに飲んでもらおうか…!

話は変わりますが、お惣菜担当をしてくれたSoilのななシェフは、とても穏やかでにこやかなレディです。一見してあきらかに落ち着きがないますたやとは、ちょっと趣が違います。

なので、実はちょっと心配だったんですよ。『あたしの前のめりなテンションに、一方的に巻き込んでないかしら…』と。

そんなある夜中、ななシェフからこんなラインが届きました。

オタクの早口

心配するの、やめました。(好き)

というわけで、ともに前のめりだったわたしとななシェフの、エモーションがぱんぱんに詰まったフランスお惣菜NIGHT。

とにかく楽しい夜だったんですが、今回の記事ではおもにお料理とワインのペアリングについてご紹介していこうと思います。

われわれのエモ、伝わるといいな。

なにはともあれ、乾杯~!

初めましてもすぐに打ち解ける、酒場の良さここに極まれり…!

アルザス|キッシュ × ピノ・ブラン

まず最初のお惣菜は、フランスのなかでも北の産地、アルザス地方の郷土料理キッシュです。

日本では「キッシュ・ロレーヌ」の名で有名ですが、アルザスのそれはキッシュ・アルザシエンヌと呼ばれるそう。ベーコンのほかに炒めたたまねぎが入るのが特徴だそうで、今回のキッシュにもしっかりベーコンと玉ねぎが鎮座しております。

しかも、どうやらベーコン、自家製らしいんですよね。ななシェフのお店に引き取りに行った際に、「キッシュは自家製のベーコンを使って…」と説明されたんですが、自家製…?今、自家製つった…?と思いながら、現場で真意を聞きそびれました。たぶん、自家製なんだと思います。今度、ちゃんと聞いときます。

よく火入れのされた香ばしいタルト生地と、ふわりとほどける優しいフィリング。まあるい印象のキッシュに、柔らかな酸味のピノ・ブランが寄り添います。

アルザスの生産者組合によって造られたピノ・ブラン。くちあたりは冷涼地域らしく硬質なんだけど、舌のうえでほの甘さも感るんですよね。どこかパイナップルみたいなトロピカルな香りがあって、これが卵のやさしい甘さをしっかり包み込みました。

たまごとワインって、結構合わせるの難しいんですよね~!さすが地元あわせ。癒しのたまごペアリングから、お惣菜NIGHTのスタートです。

プロヴァンス|ラタトゥイユ × プロヴァンス・ロゼ

お次はぐっと南下します。北の産地から、南の産地へ。

たどりついたのは真夏のプロヴァンス。ラタトゥイユとロゼの、ハッピー・サマー・ペアリングでございます!(もちろんモー娘。を意識してます👰🤵)

ちなみに今回ほとんど写真が撮れていないので、参加者のしょうきくんのお写真をお借りしました。撮影班、ありがとうございました!

くつくつに煮込まれた夏野菜たち。おナスにパプリカに玉ねぎに…酸味は柔らかく、野菜本来の甘さがじゅ、と広がります。

そしてね、セロリがね。いいんですよ。触感と香りがアクセントになって、シンプルな構成に色を添えてるんですね。

ここに合わせたのは、ロゼ好きで知らぬひとはいないであろう、トリエンヌのロゼでした。もちろんわたしは、知りませんでした(もぐり)

こちらはブルゴーニュの偉大なドメーヌである『ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ』と、『ドメーヌ・デュジャック』が共同で南仏に立ち上げた夢のコラボワイナリー。とはいえワインはとっても親しみやすく、軽やかな口当たりで真夏にぴったりの伸びやかなワインでした。

でも、すっきりしながらもかすかに甘やかな香りがあるんですよね。ワインだけでも飲めちゃうチャーミングさがある。これが、お野菜の持つ自然な甘さと、がっちり肩をくみました。

ああ、なるほど。ロゼってそれだけでも十分に美味しいんだけど、やっぱり食事とともにあることで本領を発揮するんだなあ…!

気づけば、ワインを飲む、ラタトゥイユをつまむ、またワインを飲む…という永遠の南仏ループに突入。あ~~~、夏の日差しが恋しいぜ…!

ジュラ・サヴォア|サヴォアチーズ × ジャケ―ル

お次は東の山地域、スイスとの国境ジュラ、そしてサヴォア地域を旅します。

ここでお惣菜は閑話休題、フロマージュゾーンに入ります。

今回のフロマージュは、ラクレット・ド・サヴォアとコンテ、そしてトム・ド・サヴォワの山チーズ三種盛りでした。オレンジピールとバケットも添えて、ハッピーチーズプレートの完成です。

余談ですけど、チーズ、いいですよね。あたしほんと、前世は牛だったんじゃないかっていうくらいチーズが大好きなんです。でも、自宅でいろんな種類をそろえるって大変じゃないですか。それなりに高いし。

というわけで、今回のイベントはたくさんチーズを食べたいわたしにとって、渡りに船みたいなもんでした。みんな、付き合ってくれてどうもありがとうございました。(職権濫用ともいう)

Soilさんでのチーズ試食会。楽しいの極み。

さて今回はこの山チーズたちに、サヴォアの特徴的な品種である「ジャケール」をつかった白ワインをあわせました。

ジャン・ペリエ・エ・フィスが造るサヴォアのジャケール。白いお花のような綺麗な香りと、独特な硬質感。まるで岩の間を流れてきた清流のような、綺麗で凛としたくちあたりです。

でもしっかり果実味があるので、チーズの濃さにも負けずに居るんですよね。山ワインって若干とっつきにくいというか、独特な固い雰囲気があるイメージなんですが、そのひと癖がチーズにぴったりでした。遠くにスイスの白い山脈が見えた。

でも実はもともと、こっちを出そうと思ってたんですよね〜!余談だけど、聞いてもらっていいですか。

こちら、ジュラ地方といえばのヴァン・ジョーヌとおなじ、産膜酵母下での熟成という工程を経て造られた「ヴァン・ジョーヌの弟分」。

かなり酸化のニュアンスが独特なので、もしかすると飲めないひとがいるかも…と思ったのと、シンプルに予算の関係であきらめました。みなさんにお出しして感想を聞いてみたかった。酸化熟成系がお好きな方は、こちらもグッドです。三ノ輪の鈴木酒販さんで購入できます。

ブルゴーニュ|コック・オー・ヴァン × ピノ・ノワール

さあさいよいよ、本日のメイン料理!

鶏肉を赤ワインでたっぷり煮込んだ、コッコーヴァンの登場でございますコケッコッコー!

全体の予算を組むにあたって、どこに、どのくらいの予算を割くかは重要な問題です。お客さまの金銭的な負担は極力減らしたいけど、一方でわれわれシューイチバーもSoilさんも「お店」としてやってます。今後も長く続けていくためには、利益をまったく出さないわけにはいかない。

そして、何を隠そう今回の企画で、予算を振り切ったのはここでした。ワインはどうしてもブルピノが出したかったし、できればお肉が食べたかった。それで、決めました。なんならチキンなんてひとりふたつあったからね。絶対計算間違えてるでしょ

量よ

というわけで、箸を入れるとほろりと崩れる鶏肉は、うっとりするような香り高さに仕上がっていました。

参加者の方からも「こんなに赤ワインの香りがするんですね〜!」とのコメントが。そりゃワインに合わないはずがないわ…!

そしてこのワインがまた美味しかったんですよ…!ミシェル・グバールのジヴリ。コート・ドールの南側、コート・シャロネーズ地域のピノ・ノワールです。

最初にひとくちテイスティングしたとき、思わず「うまっ(笑)」てにやけました。

ブルピノってそんなに親切なやつじゃないと思ってて、わりと開けたては固かったり、付き合いにくかったりするじゃないですか。なんだったらそれこそがブルらしさでもあるくらいの。

でもこれ、もう開けたてからフレッシュ甘酸っぱいちごちゃんな感じで、めちゃくちゃ美味しかったです。あ~わたしは今、ジューシーな果物を飲んでいる!みたいな、わかりやすいチャーミングさ。でも、ちゃんと綺麗な酸もあって、ヴィエイユ・ヴィーヌらしい凝縮感も感じられました。

もうさあ、ブル好きの風上に置けないかもしれないけど、わたしはこういうピノも大好きです。

もちろんほろほろチキンとの相性も抜群で、ワインもチキンも秒でなくなっちゃいました。いやあ、いいワインだった。我が家にも1本買っとこ。

ボルドー|カヌレ × ボルドーブレンド

さて最後はデセールで締めとなります。ああ、楽しい旅がもう終わってしまう…!

と、実はこの日ななシェフから、『ますたやさんにジャンピング土下座しなければならないことが…』という連絡を受け取っていました。なになに?ジャンピング土下座?

『カヌレ、出せるものができませんでした。クソ過ぎて死にたい。』

急に死なないで。(オタク、安易に死にがち)

というわけで、今回は残念ながらななシェフカヌレはおあずけとなりました。急遽、成城石井シェフの代打です。世界に成城石井があってよかった。成城石井シェフカヌレだって十分うまい。

こちらは在りし日のななシェフカヌレです。試作はうまくいったんですよ、試作は…

合わせたのは、ボルドーの赤。シャトー・ベルナドットが造るボルドー・ブレンドでした。

上品な樽の香りと、身震いするようなシルキーな舌触り。若いだけではない、濃縮した果実感。あ~やっぱりワインの王様はボルドーだ!と、これまでの文脈を全部ひっくり返す、華麗なてのひら返しのフィナーレです。

アストルさんインポート。余談ですが、アストルさんのワインはみんな「アストル味」がします。大好き。

実はこちら、2月のシューイチバーでもお出したんですよね。そのときもやたら美味しかった気がしたんですが、先日うちの営業担当から「試飲会でベルナドット飲んだけど、状態最高だったよ」と連絡をもらいました。で、『あ、やっぱりそうだったよね?』と再認識したうえでの再登板。なんたってボルドーのグレートヴィンテージ2015。ああ、思い出してもおいしかったなぁ…!

成城石井シェフカヌレが代打頑張ってます

「ワインの清澄に卵白を使うため、残った卵黄を使ってつくられるようになった」という逸話の残るカヌレ。しゅわ、というくちあたりと、オトナの甘苦さが、ワインにもよく合いました。

もちろん成城石井シェフも美味しかったけど、次こそはななシェフのカヌレとともにいただきたい…!

これはボルドー現地で食べたカヌレ。ただの自慢です。

おまけ|お持ち込みワイン

フランスお惣菜旅はここでフィニッシュですが、今回のイベントはワインとお食事のお持ち込みをOKにしておりました。

ここでお友達ののぞみさんが気を効かせてくださり、なんと2本もワインを持ってきてくださいました!うわあ、ありがた…!

お持ちいただいたのは、チャーミングで果実味豊かなクリュ・ボージョレ(クリュ・ボージョレ…!)と、マァジのカンポフィオリンです。

えーん、そんなの、どっちも美味いに決まってるでしょうよばかやろうッ!(嬉しすぎて暴言)

参加者のみなさんの、終わり間際の雑談を影からしっかり支えてくれました。美味いは正義。

のぞみさん、お惣菜の引き取りにも同行してくださり、さらにはバゲットの差し入れまでいただいて、もはや神の所業。

今回のイベントはのぞみさんなくしては成立しませんでした。お惣菜NIGHTの影の立役者、スペシャルサンクス、本当にありがとうございましたジャンピング土下座します…!(オタクすぐ死ぬ)

みんなが来る前にこっそり乾杯♡

そしてNIGHTは終わりゆく

というわけで、美味しく楽しかったフランスお惣菜NIGHTは、大盛況のうちに幕を閉じました。大好きなフランスワインと美味しいお惣菜に、主催のわたしも大満足。

今回のリザルト

でもね、なにより楽しかったのが「ワインの話なんて全然してない」ところなんですよね。ペアリングの話もお料理の話も、会話のきっかけにはなってもメインにはならないんですよ。

近所の美味しい酒場の話題で盛り上がったり、男子の婚活話でヤンヤヤンヤしたり。その場限りで忘れちゃうような、熱くて、ささやかで、カワイイ話たち。

そうやって、最初はお互い知らなかったものどうしが、酒場ですれ違い、さかずきを交わし、時間を溶かし合う。あの、ほどける時間の素晴らしさは、なににも代えがたいオトナの愉しみだなぁと思います。

そんな夜に、寄り添えるバーでありたい。これからも。

シューイチバーとしては初めてのイベントでしたが、見守る店主のわたしは胸いっぱいでした。見切り発車だったけど、開催してほんとによかった。それもこれも、来てくださったあたたかいお客さまのみなさまのおかげです!ありがとうございました!

というわけで、シューイチバーは引き続き、毎週金曜日の夜にオープンしております。楽しい夜も、孤独な夜も、いつでも美味しいワインとおしゃべりで、みなさまをお待ちしておりますので、お気軽にあやしいビルの扉を開いていただけますと幸いです🥂

また飲みましょう!

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■ ますたやとは:
関東在住の30代、3000円ワインの民(たみ)。ワイン好きが高じて、2023年3月から都内のワイナリーで働きはじめました。
2021年J.S.A.認定ワインエキスパート取得/2022年コムラードオブチーズ認定。夫もワインエキスパートを取得し、現在はWSETLevel3を英語で挑戦中。

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