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成長という仮面をつけた横スライドという衰退に陥らないために、変化は能動的に起こした方がいい、という話

今回は、こちらのタイトルで内容を書き進めていきたいと思います。

伝えたいことのサマリーとしては

・技術革新のスピードがあがり、会社の寿命が短くなってきた中で、個々人が完全に同じ内容の仕事を継続できる時間は短くなってきた
・会社側の観点では「従業員に何度も学び直しをしてもらわないといけない」し、個々人側からの観点だと「何度も新しいことをキャッチアップしないといけない」状況
・専門職におけるコアスキルに大きな変化はないものの、ITを利用した業務への変更、テクノロジーによる学習コスト低減は進んでいる
・となると、コアスキルを身につけることと並行して、変化を受け入れることが重要になってくる
・「状況に合わせて変化を受け入れていくこと」と「個々人の生存戦略として能動的に変化を生み出していくこと」はいずれも重要
・「個々人の生存戦略として能動的に変化を生み出していくこと」では、PPM分析的な思考をベースとして「問題児」に一定のリソースを投下するとよい
・会社における「経験者採用」は、「その領域を任せる1人目であること」や「ルーティン化された固定的な業務」以外では意味が薄れていくのではないか?
・時代の変化をみる観察力と、それを自らの変化に落とし込む思考力はとても大事

という感じです。

なので、

・時代の変化に煽られて様々な変化を受け入れてきたが、もっと主体的にキャリアを選択していきたい
・今後さらなる変化が進んでいく中で、どうキャリアアップしていくべきかの指標を得て能動的に考えていきたい
・新しいことにどんどんチャレンジしていきたい

という方にお読みいただければと考えています。
「自分の人生をひとつのことにかける」と決めたアーティスト、職人、経営者などの方にはフィットしない内容かなと思っています。

会社の寿命を20〜30年として

「会社 寿命 平均」とかでググると、20〜30年くらいと記載されていることが多いかなと思います。
会社規模は大小あって、寿命も千差万別なので、「20〜30年」という平均値をベースに考えることは適切ではないかもしれませんが、考えやすさ、頭の整理のしやすさのため、いったんこの数字を使えればと思っています。

会社の寿命を20〜30年とすると、創業後5〜10年はいわゆる「創業期」で、事業をつくり、会社を安定させるために必死になる時期かなと思います。
その後、5〜10年で事業が安定的に運営され、さらにその後の5〜10年で事業が衰退したり、事業売却されたりなどの変化が発生するかなと。

創業期、安定期、衰退期における状況、必要とされるスキル、人はそれなりに異なると思っていて、そういった観点だけでみても5〜10年単位で会社組織としての、事業運営上の変化は起こるわけです。

そこにさらに技術革新という要素が加わると、最初の3年は紙でオペレーションしていたけど、その後の3年はクラウドでオペレーションして紙は使わなくなりました、というような変化が起きるわけです。

変化には準備が必要で、切り替え期間なども発生することを考えると、完全に同じ状況で仕事を継続できるのは2〜5年くらいのものと想定しておいた方が無難なのではないかな?というのが現状としての私の所感です。

学び直しは合理的な範囲であえて能動的に起こす

よほどレガシーで、変化を嫌う組織の中にいないことが前提になりますが・・・。
学び直しは、合理的な範囲であえて能動的に起こした方が、会社にとっても、個人にとってもメリットが大きいと思っていて。

市場の変化は必然的に起きるので、生き残っていくためには会社として「絶対に変化をしない」という選択はできないわけです。
会社は適宜方向転換を実施しますし、それによって従業員に求めるアウトプットも変化していきます。
人が入れ替わるか、個々の従業員がそれに適応するか、いずれかの選択肢が都度とられていくことになるかなと。

そういった中で、人が入れ替わることが一定あって然るべきだと思いますが、個々の従業員がそれに適応する、ということが大多数である方が適切なのではないかなと思っています。

会社側の観点でいうと、「仕事として既に定義された枠組みに当てはまる人を探し、仕事の仕方をレクチャーし、文化的にもフィットしてもらう」というプロセスに付加価値は多く発生しないからです。
ビジョンに共感し、共に仕事ができる仲間を見つけるという形での採用(いわゆるボードメンバーの採用)であれば付加価値はあるかもしれませんが、多くの採用は「既に定義された枠組みに当てはまる人を探す」採用なのではないかなと。
それに採用費が見合うならば問題ないと思いますが、会社側の観点からみれば単純に支出が増えた、と捉えた方がお金の計算上は適切かなと思います。
であれば、個々の従業員に対して「市場の変化は起きるので、会社としての方針の転換は都度実施します。なので、みなさんも学び直しに積極的になり、市場の変化や会社としての方針転換についてきてください。」というメッセージングの方が合理的なのではないかな、と思います。

個人側の観点からいくと、「変化は起こされる前に起こした方がいい」という認識です。
これは、頻繁に転職しましょう、という意味ではなく、目の前の業務について慣れを感じる前に、見方や取り組み方を変えましょう、という意味です。

人はどうしても、評価や心理的な作用により過去の成功体験にすがりがちかなと思います。
「前回はこういう取り組み方でうまくいったから、今回もそうしよう」という感じ。
そういったスタンスで仕事に取り組んでしまうと、「仕事に慣れた」という状況に至ったあと、成長は途端に止まってしまうなと。
「前回はこういったやり方でうまくいったけど、今回はこういった観点を加えて新しいことにチャレンジしてみよう」というスタンスの方が、日々の学びが多く、少しずつでも成長していけるかなと思います。

なので、いったんルーティン化してしまった自分の業務なども、世の中の新しいソリューションなどをウォッチしながら「これで代替したら自分は他のことにチャレンジできるので、業務変更にトライしてみよう」という形で能動的に変化を加え、学び直しをせざるを得ない状況にした方が、会社としても個人としてもwin-winになるなと。

専門性や業務難易度を盾に変化を拒んだり、拒まれたりすることはあるかもしれませんが、ITなどを活用して学習コスト、情報共有コストが低減しているのは事実であり、クラウドなどもどんどん便利になっています。
変化を起こさない方がかえって辛くなる、というのは事実なのではないかなと思います。

成長という仮面をつけた横スライドという衰退

上記のような形ではなく、「会社が従業員に変化を求めず、個々の従業員も変化を拒み転職し続ける」という状況になったらどうか、というところについて言及していきます。

自分の役割、業務を自ら狭く明確に定義し、変化に順応せず横スライドで転職を継続すると、「ゆでガエル」のような状態になり、知らぬ間に衰退している、という感じになるのではないか、というところが個人的な所感です。

特に雇われる側の人たちの業務上の付加価値は、徐々に低減していくという原則があるように思います。
技術革新によって、昔は10人で対応していた業務が1人でできるようになった、というようなものですね。
技術革新する側の人たちによって、その業務の付加価値が低減し、技術に吸い取られてしまうようなイメージです。
その技術を提供する企業や、その領域でトップクラスのパフォーマンスを出せて生き残れた人には報酬が支払われ、そうでない人たちは活躍の場がなくなっていく、という流れかなと思っています。
これは、40〜50歳前後で収入が増えなくなったり、下がったりする人がいるということと重なるのではないかなと。

「その領域のトップとして生き残ること」と「変化に合わせて学び直しを行い、変化に順応して生き残っていくこと」、どちらが精神衛生がよく、個々人にとって取り組みやすいか、人によって判断は異なると思いますが、私は後者の方が取り組みやすいと思っていて。
みんなが東大に入学することはできないですし、みんなが東京駅伝で1位になることも難しいわけで、変化に順応するスタンスを身につけておくことの方が、トップになることよりも人生における重要なスキルなのではないかなと思います。

自分の役割、業務を自ら狭く明確に定義し、そこに居座り続けようとすると、「成長という仮面をつけた横スライドという衰退」に遭遇することがあると思っていて。
それは特に、「横スライドにすぎない転職」がキャリアアップとして誤認されることで、「環境の変化、飽きを理由に転職をするも、次の環境で思考することも実施する内容も全く同じ」というパターンであれば、たとえ給料があがっていたとしても、技術革新などによりいずれゆでガエルのような状態に至る可能性はあるのではないかなと思っています。

キャリア戦略としてのPPM分析

上述では、「仕事への取り組み方について常に変化を念頭においた方がいいのでは?」というような内容を記載しました。
これは、「日々の仕事に取り組む際の心がけ」ではあるのですが、「自分の新しい軸を生み出すための非連続な変化」にはつながりにくいと思っています。
プログラミングをしたことがない人に、会社から「このシステム、今月中に自分でつくっておいて」というオーダーはあまり来ないですよね?というところで・・・。

「新しいことにどんどんチャレンジしていきたい」という方向けに書いているので、「非連続な変化を生み出すためのキャリア戦略」にも言及をしておいた方がいいと思っています。
で、結論としては、「PPM分析を念頭に自分のスキルを整理し、『問題児』の領域に1日1時間くらいは時間を割けるようにする」という感じがいいのではないかなと。

自分は今何を「金のなる木」「花形」としているか、楽しめないもの、陳腐化してきてしまったスキル、自分には不向きだったスキルという意味での「負け犬」は何かを整理し、新しく取り組んでみたいこととしての「問題児」が空っぽでないことを維持できることが大事。
「問題児」は、とりあえず興味が湧いたものでいいと思います。
やってみて、現状の保有スキルと相乗効果が見いだせればなお良し、くらいの感じでいいかなと。

「負け犬」と「金のなる木」「花形」に線引きができていないと問題で、「負け犬」と判断できる保有スキルがあれば早々に別のスキルにフォーカスし、その領域は他の人にお任せしてしまった方がいいのではないかな?というのが個人的な所感です。

保有スキルについて「プログラミング」「営業」という形で粗めに分けてしてしまうと建設的な発想につながらないので、「わかりやすい営業資料作成」「顧客から信頼してもらえる細やかな対応」「システムの使い方をわかりやすいマニュアルに落とすスキル」など細かく分けて、抽象度をあげて捉えるトレーニングも必要かなと思っています。

さいごに

20代は「専門性の習熟が大事」と思っていたのですが、今となってはそれ以上に「時代の変化をみる観察力と、それを自らの変化に落とし込む思考力の方が大事」と思うようになりました。

それと同時に、会社における「経験者採用」は、「その領域を任せる1人目であること」や「ルーティン化された固定的な業務」以外では意味が薄れていくのではないか?という風にも思いました。
これからより変化が激しくなっていくことを考えると、定型的な職種や業務に落とし込んでそれに該当する人を都度補充する組織運営よりも、状況に合わせて最適な変化や動き、体制を生み出せる人の方が重宝されるし、そういった組織の方が強いのではないかなと。

会社においても、個人においても、今の時代やキャリアをどう捉えるかは好き好きだと思いますが、現時点で今私の中で一番納得感のある考えを書かせていただきました。

お読みいただき、ありがとうございました!

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