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「線」はあとから自然についてくる。だから「点」をつけることを丁寧に。

昨日の昼過ぎに実家のある岡山に帰ってきて、今日の昼過ぎには東京に戻る。弾丸帰省。

新幹線で岡山に着いてすぐに実家に帰り、母と二人で食事をしてから、父の乗っていたロードバイクに跨って、父のお墓に向かう。僕以外には誰も乗らない父のロードバイクは、少し錆びついてしまっていたけれど、それでも快適に飛ばしてくれた。

お墓に着くと、まさに「心臓破りの坂」が待っている。
我が家のお墓のある場所は、山の中腹点にあるのでどうしてもその坂は避けては通れない。お墓のある場所からの見晴らしは最高にいいのだけれど、その坂だけはなかなかいただけない。「じいちゃん、何でこんな場所に墓を建てたんじゃ・・・」と普段は使わなくなってしまった岡山弁で独りごちた。

新幹線から降りた時には「岡山も寒いなぁ」と思ったけれど、坂を登り終ええてお墓に着いたときには、もはや汗だくなっていた。気持ちのいい澄み渡る青空のもと、心地のいいの風が吹き抜けている。

線香に火をつけて、手を合わせて目を閉じる。

「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」

年明け早々にはベトナム渡航に行っていたので、今年実家に帰ってくるのはこれは初めて。一通りの近況報告を終えて目を開けると、線香の束が白い煙だけでなく赤い炎を出して燃えていた。手を払うようにして、何度もその炎を消したのだけれど、その炎はいくどとなくその勢いを吹き返した。まるで、父が反応してくれているかのようだった。

「また、来るね。」と残し、さっきの心臓破りの坂を、今度は逆に父のロードバイクで爽快に飛ばして下った。

それから次の目的地・岡山のアンティークセレクトショップ「HAMON OKAYAMA」に向かった。

HAMONさんは、僕の同級生(小学校1年A組のときからの友達)がオーナーをしているアンティーク家具を中心としたセレクトショップ。岡山でもトップクラスの実力を持ち、県内外からわざわざ訪れる常連客も多い。岡山でもトップクラスの実力をもつセレクトショップと言っていいだろう。オーナーの"Oちゃん"は、東京の有名なアパレル会社でその力を磨いて、満を持して地元の岡山で「HAMON」をオープンした。僕も信頼している経営者の一人である。

岡山に帰ると、父と母に会うこととOちゃんに会いにHAMONにお邪魔することは、僕の中でルーティンとなっている。Oちゃんは僕にとって、経営するということにおいては先輩でもあるので、少しお邪魔させてもらったときに色々と話をさせてもらうことは勉強になるしとても刺激にもなる。

道中で岡山に焙煎所を置く「Cafe Kitsune」さんに寄って、二人分のカフェラテの買った。ラテを飲みながら二人でおしゃべりをするなんて最高じゃないか、と僕は気分が上がった。いつだって友達に会えるというのは、とても楽しいことだ。

お店に着くと、Oちゃんは「何で岡山におるん?」とびっくりしたようだった。今回の帰省は本当に弾丸なので、誰にも連絡を取らずに帰ってきたのだ。相変わらず、素敵なアイテムがたくさんの店内はインテリアショップなのに、ずっとそこにとどまってしまいたくなる程心地いい。

お互いのお店の近況の話をしながら、自分たちの"これから"のことについての話になる。彼と話していて楽しいのは、「未来の話」の方に重心があるからだと思う。もちろん、現状日本国内でビジネスにおいて、明るい話などほとんどない。いや、"ない"と言い切ってしまっていいだろう。だから、経営をしていて楽しいことばかりではない。けれど、それでも"それはそれ"として、自分たちがどこを向いて生きていきたいかに意識を向けられること、そして、それを友達と共有できることはとても心強いし嬉しいものだ。

昨夜、見るともなく眺めていた経済ニュースを見ていても「明るい兆し」について伝えていたけれど、それだって怪しいものだと思う。旧態依然とした日本のシステムが、たかが賃上げが断行されたところで変わるはずがないと思ってします。むしろ、表面的な経済施策が功を奏したように見せかけて、より国家が好き放題をし始めて、さらなる破滅に向かうのではないか、という危惧感が僕にはある。悲観的に過ぎるのかもしれないけれど、でも、それはナチス・ヒトラーが行ったことと僕にはどうしても重なって見えてしまう。我が国の歪んだシステムは、決して「お金」で解決できるような生ぬるいものではないのだ。ただ、歪んでいることがここまで露呈しているのにも関わらず、壊れそうで壊れないシステムにやはり恐怖感が募る。

話が逸れてしまったけれど、Oちゃんと話していて思ったことは、やはり”それとは別に、僕たちは僕たちでやっていくしかない"し、逆に言えば、それができる環境がOちゃんにも、僕にもある。Oちゃんにとってそれは「HAMON」という基地であり、僕にとっては「THE MIDFLOW」という基地である。そこでどんな作戦を練り、どんな行動を移すかのかは、僕たちの自由なのだ。

改めてそれを思うと、最高に幸せなことだな、と心から思う。

2024年の僕は、「点」をいくつもつけてまわろうと思っている。
可能な限りたくさん「点」を残してまわる一年にしようと思っているのだ。

点と点をつなぐ「線」はあとから自然についてくる。これは、僕の41年の人生から学んだ数少ない事実の一つだ。そのために、点をつけるために必要なことは、目の前のことに集中することだ。目の前のことに丁寧に取り組んで、それを積み重ねていく。その中で、僕に取ってはやはり「移動」は重要な意味を持つ。今回は、帰省という形だけれど、無理やり時間を作り出して「移動」の時間を設けた。やはり「移動」することはとても良い心理的作用をもたらす。東京にいるときは、どうしてもどこか心が張り詰めてしまうんだな、とこの文章を岡山で書きながら感じている。東京にいるときには考えない、もしくは考えられないようなことを、今考えている。

東京と岡山では、やはり時間の流れ方が違う。僕が住んでいた頃の岡山よりは、いくぶん都会化したとは思うけれど、やはり岡山は岡山だ、という感じがする。もちろんいい意味で。

HAMONの心地いい空間で、信頼できる幼馴染のOちゃんとそんな話をしながら、僕はまたいろんなことを考えることができた。僕のやりたいことはとてもシンプルで「幸せとはなにか?」という思索と、それに資する仕事をライフワークにしていきたいというもの。

そのためには、何が大事か?という択一的な問いではなく、自分の人生を送る中で、それを拾い集めてやがて整えていくしか方法はない。拾いすぎたら捨てて、足らなければまた拾う。実際にそれをやる前に、そのバランスなどわかるはずもない。だから、僕は「移動したい」と思うのだ。

ちょうど一ヶ月後、僕はあるアジアの国に降り立っている。
そこでも新しい「点」を作りたいと思う。

HAMONでOちゃんと語り合えたことで、また違った形でその国に行けることにとても嬉しく思っている。やはり「点」を積み重ねることが、今の僕にとって、とても大切なことなのだ。

余談だけれど、THE MIDFLOW coffee roastのある東京都国立市は、なぜか岡山に故郷のある方、つまり同郷の方が多いみたいだ。僕が店内用に「備前焼」を使っているせいもあって、お客様と「岡山」の話になってゆくゆく話すと「同郷なんですね!」という話になるのことが少なくない。正確に数えたことはないけれど、10人や20人じゃなくて、もっといらっしゃると思う。

そんな中で、僕の発信しているSNSの中で「HAMON」さんに触れると、とても興味を持ってくださる方が多い。岡山に帰ったことに行ってみたい、と言ってくれる。ぜひに、行ってみてください。センスのいいオーナーが丁寧にひとりひとりにアテンドしてくれます。

詳しくは下記HPで。

さて、東京に戻る準備をしなきゃ。
バッタバタやな。

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