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感じ、想い、イメージする力〜ベトナム旅行記(10)
ロブスタ農家さんを訪れた翌日、
僕たちはFuture Coffee Farm(以下FCFと書く)のあるベトナム・バオロクから車で2時間ほど北の方角へ行ったダラットへ向かった。
アラビカ農家さんを訪れさせていただくためだ。ダラットは、ベトナムのフランス占領下時代の雰囲気が色濃く残る街でフランス様式の建物がたくさん立ち並ぶ。
観光地としても有名な場所で、さまざな国からの観光客も目につく街だ。
欧米からの観光客や、アジアでは韓国からの観光客が多いような気がした。
ダラット市街地は、少しの時間、一人で歩き回ってみたので、そのことは違う回に記したいと思う。
アラビカ農家さんを訪れさせていただくのは、2022年6月のベトナム渡航時に続いて2回目。僕のコーヒーショップでも販売させて頂いているTHA-1という品種を栽培しているRadar Farm。今後、仕入れることになるかもしれないVoung Farmの2箇所。どちらも標高の高い位置にあって、比較的低地にあるバオロクのFCFよりも気温はグッと下がる。昼間はまだマシだけれど、夜になるとダラット市街地でもダウンジャケットが必要なくらい寒い(渡航時・1月上旬時点)。
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まさに山道と呼ぶべきでこぼこ道をガクンガクン揺られながら、頑丈な車に乗せてもらって登っていく。迂闊にしゃべってしまおうものなら、間違いなく舌を噛んでしまう。でも、そんな日本では絶対に味わうことの出来な状態に、自然とテンションも上がってしまいみんなできゃっきゃっと騒ぎまくってしまう。
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以前のnoteにも書いたことだけれど、僕は、農園を訪れる際には、あまりスマートフォンを触らないようにしている。ところどころ、印象的な部分は写真に撮るのだけれど、SNSも基本的にはあまり触らない。触る時間というのを、基本的には決めておいてめたらやたらに触らないようにしている。
海外に渡航時に、僕が一番大切にしたいのは、頭で考えて習得するモノではなく、心で感じて身体に染み込んでくるモノだ。
頭で考えて習得するモノは、別に現地に渡航するまでもなく本で読めば知識など習得できてしまう。でも、その一方で、心で感じて身体に染み込んでくるモノというのは、その場所でしか感じることはできないし、染み込ませることもできない。そして、モノの感じ方というのは、十人十色だから僕だけのオリジナルものがインプット出来るし、その結果としてこのような文章というアウトプットができる。
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コーヒー農園のある場所は、山中で、さらに標高の高いところなので、スマートフォンの電波も微弱になるし、スマホから距離を置くにはもってこいの場所だ。日本にいると、どうしても日々の動きが気になってしまって、SNSを無意識に開いてしまうし、ニュースサイトなども不必要に開いてしまう。
そうなのだ。「日々の動きが気になってしまって」ということに、僕にとって必然性もなければ、必要性もない。でも、「なんとなく」のスマホを片手にとってしまうのだ。
それが、強制的に遮断されるとき、僕はある種の「自由」を感じることになる。めいっぱい、自分を観念的に開いて、物理的に農園の空気を、全身に吸い込む。僕を縛るものは、何もないと感じることができる。そう。本来は、なにも僕を縛るものなど、何もないのだ。
僕は、そんな一見、コーヒーとは無関係のことを、農園の中心で感じていたりする。いとも簡単に別の場所、別の空間に、意識を飛ばしてしまうモノから自由になることで、僕は目の前のものに集中することができる。それが、僕がベトナム渡航時に限らず、海外に出る時の数少ないルールとしている。
ヘッドフォンを外し、音楽を消し、周囲の音に耳を澄まし、そして、スマホから観念的も、物理的に距離を置く。
それをすることで、初めて見えてくる「世界」がある。
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僕は、ベトナム語はわからない。
英語も、ある程度の意思疎通ができても、上手にはおしゃべりはできない。
そうなると、大事なのは、相手の表情や仕草をや読み取り、感じ取ることが必要になってくる。もちろん、100%は不可能だ。でも、少しでも、寄り添うということは出来るはずだと考えている。僕は、かつてのカウンセラーとしての経歴から、ヒトの口から発せられる言葉の奥にあるその源に意識を向けるように心がけている。
なぜ、なにを、どのように、感じて(あるいは想って)、その言葉を発したのだろう?
表面化された言葉よりも、その奥にある想いや感情そのものの方が大切だと思っている。だからこそ、異国の人たちとのコミュニケーションを取る上で(もちろん日本人同士であっても)、そこがとても大事な部分だと思っている。そのためには「感じる力」「想う力」言い換えれば「イメージ力」がより一層要求されることになる。だからこそ、僕はスマホからの距離を置きたいと思うのだ。
Radar Farm、Voung Farmの二つの農園は、とても若い人たちによって、経営・運営されている。ベトナムのコーヒー農園のレベルを、より一層高めていこうと日々の仕事を情熱を持って、丁寧に行っている若い力だ。
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彼らの品質向上への想い、そしてその表情を感じ取りながら、農園とお客様の中間地点を意味する"THE MIDFLOW" coffee roastという私たちのお店の名前に想いを寄せて、僕たちもより一層の努力をしていかなければならないと感じた。
こういうものこそ現地を訪れてこそ、湧き上がる確固たるモノだと僕は想っている。「わざわざ現地まで行かなくても、コーヒー豆は仕入れられるでしょ?」と言われることもある。でも、「そういうことじゃないんだよ」っていうことが、今日の文章が伝わればいいなと思う。
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