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言葉のアパルトマン 230309

今回はこのマガジン「言葉のアパルトマン」に昔から暮らしている住人を紹介したいと思います(過去作品紹介です)

今回は10作品昔のものを載せましたが、古いのだと8年位前になるようです。精神状態があまりよくなかったのか、命や死についてあれこれ思いをめぐらせていて、鬱屈とした気持ちを言葉に込めてnoteに投げつけています。

やや湿度が高い感じですが、よろしければご覧ください。スキ押していただけると嬉しいです。


節くれた指で数える
ひび割れた唇で数える
身を粉にして手に入れた小銭を


稲妻に照らされたマルチストライプの雨
夏はいつも煽情的な演出の後に登場する

逃げ込んだ絶滅危惧種の電話ボックスを
少年は透明な棺として旅立つ事を決めた


私は知った

何もしなければ

誰かのせいにできる事を


戦車が作った轍に躓き倒れても
軍靴や銃声が鼓膜を震わせても


大勢で一斉に狙撃をすれば
誰が致命傷を与えたかわからなくなる

罪が希釈される事がさらなる罪
最期まで至らしめても何も感じないのだ


友のいない
卒業写真を
燃やした町は
手首を切っても
死ねなかった町で
家族に恥だと
なじられた町だった


嘘や数字の操作をして客車の化粧板を直しても
剥がすと裏の骨組みはずっと前から腐っていた


今夜も暗い箱の底で音圧に
骨が砕けるまで踏みにじられたい


誰にも見えない自分の心の中なのに
どうして他人の勝手な言葉の方を信じたのか


煤けた天井の木目しか看取ってくれなかった
この安アパートは世の中と隔絶された独居房



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