瞑怒雨
稲妻に照らされたマルチストライプの雨
夏はいつも煽情的な演出の後に登場する
逃げ込んだ絶滅危惧種の電話ボックスを
少年は透明な棺として旅立つ事を決めた
激しい雷鳴は学舎の暴虐の声をかき消す
誰も信じられず誰にも相談できないなら
塗炭の苦しみをもう舐めたくないのなら
もうこの世界で生きる必要はないだろう
濡れたガラスで街は海の底に変わり始め
走り回る人も煌めくサーディン群となる
美しく見える物を最期に焼き付けた眼球
制服のネクタイを輪にして縊死を選んだ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?