フランスで手を切った時の話ー前編

こちらに来て初めてのフランス滞在記です。
結構なトンデモ話ゆえに…何か周りの人たちにせっせと話を広めるだけでなく、これからフランスに行く人向けにも、広めてみようと思った次第です。ちなみに事故発生からすべてが終わるまでに丸一日かかったため、何回かに3回に分けたいと思います。
推敲はしていないため、乱文です。
筆者は関西人ではないのですが、大学時代の素敵なお友達の影響でエセ関西弁が出てくることがあります。関西の皆様、どうぞお許しください。
ひとまずは全体公開にしますが、折を見て公開設定を変えたいと思います。

【フランスで手を切った時の話】


8月29日
朝のお散歩を終えて、部屋で朝ごはんしようと食べ物を準備。9月1日には展示搬入があるので、今日はガツガツ制作するぞと鼻息荒くしていました😤 

9:50
筆者が朝ごはんに選んだのは青リンゴ…そこで事故発生。
左手に固すぎるフランスの青リンゴ、右手にフランスで買った15ユーロの良く切れるセラミック包丁、4分の 1ずつカットしたかったのですが、…
勢いのつきすぎた筆者は真っ二つに切ってしまい、左手の知能線のライン(人差し指側)を3cmぶっつり切ってしまいました。刃物に残った血痕から予測するに深さ5-7mm。

人生で一番深く、自分で自分を切った日 in france…

今まで包丁で事故ったことないのに!なんてアホな持ち方をしたのだ!
切った衝撃で思わず、笑いました。しかし血がだらだら出ているので、1人で解決はNGと考え、右手で止血しながら両手を頭より高く上げて、居住している場所の受付に駆け込みました。
ちなみにこの時点で痛覚は全く感じていません。

10:00
受付係のおじさんと、居住場所の事務の方の2人がかりで救急セットで手をぐるぐるされ、事務の方の機転で13区の救急外来に「自力」で行くことに。
(この時、筆者は思った…救急車を呼んだらあかんのやろか?救急車呼んだらお金めっちゃかかるか、歩けるし自力の方が早いのだろうか?)
しかし、迷ってはいられない、交通渋滞も考えられるし、展示の準備もあるし、一刻も早く、自分の手が開いている状態から脱したい!!

10:20
急いで、病院に行く支度をし、その日の携帯の充電が40%だったので、モバイルバッテリーを装填し、13区の外来へ向かうため大通りまで競歩のように歩く….そして、タクシーを捕まえられれば万々歳と思っていたのに、タクシーが全くいない!しかも止めようとした瞬間に赤いランプついたーーーー🚕
今日はなにか「キテる」と感じて、仕方なく公共交通機関と徒歩で向かうことに。

10:50
13区にあるパリ・サン=ジョゼフ病院に到着。救急と書いてある表示に従って、受付へ。救急とあっても自力で来た人たちは、発券機で四つくらいある選択肢から何の要件か選択し、待合番号を発行する形式になっていました。
(確か、再診、予約あり、相談などのカテゴリー)
順番が来ると電光掲示板にN12番さん来てください〜など表示される仕組みです。ちょうど私が行った時は30人くらいが待機できるベンチに3人がすでにいるという状況で、比較的空いていました。10分ほどして、番号が呼ばれ受付のお姉さんのところへ向かいます。

質問の内容は下記
1️⃣今日はどんな症状で受診したいのか?
2️⃣いつ、どのように事故りましたか?
3️⃣身分証明書(外国人はパスポート&VISA。コピーでも大丈夫でした)
4️⃣Carte Vital (ない場合はセキュリティソシアル番号)
5️⃣生年月日を教えてください

筆者はうっかり身分証明書を忘れましたが、普段からコピーを携帯しておいたので、事なきを得ました…! (救急で来てるのに、自宅にここから戻るとか最悪な展開です)ちなみにCarte Vitalがまだ送られてこないという方で、役所から送られてきた手紙を携帯していない場合は、番号記載のメールを見せたり、PDFデータを見せることにトライしてみてください。受付係によって判断はまちまちですが、受理してくれる方もいます。常にコピーやデータにアクセスできる状態にしておく、あるいは救急病院セットを作っておくと良いと思います…

登録を済ませ、ベンチで待つように言われ、10分ほど待機し、看護師に名前を呼ばれ、診察室へ…
ちなみにこの時点でも痛覚はほっとんど感じていません。

11:10
看護師に受付で言われたのと、ほとんど同じ内容の質問が繰り返され、
傷を確認しますと言われ、絆創を剥がされました。
そして「Vaccin contre Tetanusは終わってますかね?」と聞かれる。Vaccin contreしか、わからない筆者。グーグル翻訳かけていいですか!!!と聞き、調べると それは破傷風という意味だった!
しかし、やったかわからない!
記憶にあるのはコロナ、麻疹、おたふくかぜ、BCG!

"日本 破傷風菌 ワクチン 法律" で急いでグーグルに検索をかけ、法律的には接種しているはずであることがわかる。(日本語でパチパチと携帯に文字を打つ姿に、看護師が「wow~漢字〜」と反応してくれ和みました)
筆者の親はワクチンをサボるということはないので、絶対に接種しているはず…?と確信

筆者「子供の時、やってます!」
看護師「Absolument?!」
筆者「OUI!(法律的には…)」
看護師「BIENNN!」
というくだりがあり、じゃあまたベンチで待ってね〜と言われる

この待合の間に念の為、親にLINE通話をかけるもつながらず…
教訓として、子供の時に接種したワクチン歴はメモっておくのが一番と思った….

11:20
もう一度名前が呼ばれると、そこには黒いパーカーに白衣を着た若手医師が立っていた。
医師「Bonjour, 私は___医師です。」
筆者「Bonjour」
医師「Je vous en prie…この部屋で診察します」
筆者は「ありがとう」と言ってないのに、「どういたしまして」という返答が来て、?と思いつつ、診察室へ….

フランスの診察台はなぜかとても背が高い。
ここにかけてくださいと言われるたび、机の高さくらいある…
今回も例にもれず、フランス式の診察台に座るように言われ、最初の問診と同じ質問に加えて、手の怪我のため、触診テストによって神経に問題が起きてないかを確認した。具体的には、自分でグーパーと動かしたり、テーブルの上に手を乗せて、医師が両手同時に指を一本ずつ触るなどです。
しかし…この触診テストは怪我した本人にも感覚を描写させるのはかなり難しいと感じた。(言語能力の問題に関わらず!)

なぜなら
1️⃣失血している状態 (鬱血に近い)
2️⃣長い間、手を心臓より高く上げているので、手先が冷えている
の二点により左右に違いがあるか、触った時に触った感触を感じるかと言われても、、 全く同じではない….!!

「右指に感覚の違いを感じるが、血の気が引いているだけからかもしれない」と答える 
今思えばこれは控えめすぎる答えだった!
正確に答えようとして、怪我のことさえ謙虚になってしまった!!
(しかも私は日本人の中でも割と痛覚に鈍い人間だ…!)

巷で「フランス人は痛覚に敏感だ、すぐに痛いという」と何回か聞いたことがあった。オステオパシーにかかった時、そこの先生がそのように言っていた。また実際、痛み止め等の処方は日本よりも強めだという。
上記の答え方だと、ごく平均的なフランス人の感覚から言えば、軽症の範囲と考えられて当然だったと思う。

30秒ほど考えた若手医師、問題ないと判断し、
「麻酔して縫います!」と筆者に宣言する。
そこで筆者は大学時代の親友がノミで手を刺して、救急外来で麻酔なしで縫ったことを思い出す。
なるほど!フランスは麻酔をするのか!!と思うも、その後 医師はとんでもな麻酔をかける。(正式なのかもしれないけど、素人的にはどうなのよという展開…!)


------以下、グロテスクな描写がありますので、苦手な方は飛ばしてください。下に、「グロテスクな描写、終わり」の文言あります。

若手医師、気合を入れるために黒いパーカーを脱ぎ始めたあと、
手術セットの台を用意し、針、ヒモ、麻酔、などなどを手術台にセットしていく。最終的に3回指差し確認をしていた。
(…もしかして、研修医なのかもしれないと筆者は気づき始める)
医師、白衣をもう一度着て、手指の消毒をし、手袋はめる

「Placez votre main gauche ici.」
と言われ、左手のひらを上に向けて、手術台に乗せる
左手に消毒液が散布され、医師 麻酔の入った注射を用意し始める

しかし、筆者ここで疑問に思う
 歯医者で親知らずを抜くときは抜く歯の近くに刺すけど、、この場合どこ刺すん….

と思ったのも束の間、傷口近辺に浅めにでもブスッと力を入れて、3回麻酔される… この麻酔が入っていく圧が非常に痛く、これまで痛覚を感じなかった筆者はこれだけ痛いなら、麻酔なくてええやん…と思ってしまった…
しかも、傷のキワキワに刺した麻酔がグロテスクに麻酔液が漏れているではないか… 充分に沁みてるけど、これでいいのか…?!?!

私の綺麗な切り口だった傷は水分が浸透し、ちょっとふやけていた。
医師「これで大丈夫だと思うけど、もし痛かったらすぐに伝えてください」
筆者「はい…(もう打たなくて良いのだが…)」

医師は釣り針のようなものが付いている糸を用意し、縫い始めた。
が…
1刺し目、成功、
2刺し目、失敗
もう一度 2刺し目、失敗→筆者、痛いです!!
医師「了解!」
すっ 麻酔注射
筆者の心の声… いや、もうちょっと優しく打ってくれ!
医師「putain」刺し損じ
筆者の心の声… いや、痛いっす!

医師「これで痛かったらまた言ってね」
筆者「Oui…」(いや、もうそのまま縫ってくれー)
2刺し目 成功…結び目まで成功

3刺し目、成功
4刺し目、失敗、失敗、→筆者、痛いです!!
医師「了解!」
5回目の麻酔注射.. 傷の周りに穴が増えていく…
医師「putain」刺し損じ
失敗、成功!

この時点で、筆者はめまいに見舞われる
なぜなら、ビスケット4枚しか食べていない…
「目の前が真っ暗になりそうっす」っと言って、そのまま座っていられなくなり、手術台に左手を置いたまま診察台に寝っ転がらせてもらう。「足を高くしたら、血が頭に戻るから楽になるはず」と医師が診察台を斜めにしてくれた。

ここでまだ二針…傷口の様子から見てあと二針縫わなければならないのに、、ゴールまで遠いな…と思った矢先

医師「あのー手術はこれで終わりにするね!見たかんじ血もとまってるし〜二針で大丈夫😉」
筆者「ほんまかいな…」
急いで起き上がり、傷を確認し
「いやでもこっちまだ空いてません?」
医師「え…あ、そうだね、あと一針ぬおっか!」
筆者の心の声(おいーーー)

三針目突入前…医師は完全に終わる気が満々で色んなものをすでに捨てており、本人は素手の状態。
まさか患者が突っ込みを入れてくるとは思わなかったのでしょう…慌てすぎて三針目の最初は消毒した素手で縫い始め、途中であかんということに気づき、ビニール手袋をはめていた…
慌てて手術したもんだから、三針目の傷口はよれてしまっていた。

医師「うん、閉じたからOKだ!」
筆者「いや、でもこれ、皮がfixしてないですよね…?」
医師「あ、本当だ、もう一回やり直すね」
筆者の心の声(今気づいたふりすんなやー!っていうかまた縫うん、穴がどんだけ開くのよーー 私の手は布か!)

三針目に苦戦しつつも、成功させ 手術終わりとなる

三針目の最中?に他の医師が呼びに来た
「どのくらいかかりそ?」
若手医師は笑顔で「全て終わるのに、あと5分で終わるよ」と言う
筆者の心の声(私の見立てでは あと15分で、す!)

この時点で13:00

ーーーーーーー以上、グロテスクな描写は終わりです

若手医師に書類関係で相談したところ、正式にきちんと書きたいので、どのように書くか聞いてくると言う。そういうところはとても親切丁寧だったが…
数分後、若手医師と先輩医師が真剣な表情で入ってくる。

先輩医師「どうして縫ったの」
若手医師「特に問題はないかと」
先輩医師「触診をして、一本ずつ確認した?」
若手医師「はい、確認しました。ちゃんとどの指の感覚もあるようでした」
先輩医師「触診をして、一本ずつ確認しても、患者が少しでも違和感を感じている場合は縫ってはいけない。マダム、傷を見せてください」
筆者 先輩医師に手を見せる
先輩医師「マダム、あなたは手の専門医のところに行かなければならない。この紐は全部外します。紹介状を書くので、これが終わったらすぐに直行してください」
筆者の心の声 まじかい
若手医師「でも確認はしました」
先輩医師「触診をする前に傷口をよく見て、これは通常より深い。そして触診で少しでも違和感を感じている場合は、専門医を紹介しなければいけない。手には神経が集中しているからだ。そしてこの場合、神経に触れている可能性がある」
筆者「あの---、感覚はあるんですが、触ると鬱血したような感覚があるだけなんですが…」
先輩医師「そう、だから、専門医を紹介したい。あなたは朝何時にご飯を?食べてない。よし!そのまま飲まず食わずで次の病院へすぐ行ってください。13区にあります。」

救急に来て安堵したのに、まさかの事態に
いやでもうっすら思ってたよ、この手術でいいのかなって
私の体張ってあけた穴…(ピアスだってしてないのに!
展示準備どうなるん…
しかも15区から13区ってトラムで何回往復するん…
と、気が遠くなりつつ、この病院での医療ミスに関して謎の支払いを済ませ
次の病院へ…. 
モバイルバッテリー持ってきてよかったと思った….

13:30
次回へ続く…..

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