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ふわっと口語で愉しむ『言志四録』 今週の言葉「176 分裂」+chat「リーダーシップはいらない?」


176 分裂

同じ方向性の人たちが集まるのは
自然なことだ。
世の中の物が、分類できるように
人々も、あるカテゴリーに分けられる。

トップは、組織を一つにまとめるのが仕事。

それが不十分な場合は、
いくつもの小さな集団を
生み出してしまうだろう。

組織内の分裂が進むとき、
リーダーシップは失われている。
(言志録 176方類以聚)

◆◇ ◆◇ 訳者の蛇足 ◆◇ ◆◇

(まとめることの難しさ)
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これまでの言葉は↓
ふわっと口語で愉しむ『言志四録』まとめ

 佐藤一斎および「言志四録」については、こちらをご参照ください

【ご注意】勝手に現代口語に訳すというか、かなり著者なりの言葉になっていますので、ご興味を持たれたら原典にも触れてみてください。

参考:講談社学術文庫 川上正光訳、岩波書店 日本思想体系46「佐藤一斎 大塩中斎」(1980年5月23日第1刷)

M&Aオンラインの著者連載コラム
「M&Aに効く『言志四録』」
「M&Aに効く論語」

chat「リーダーシップはいらない?」

 人は集まる。集まるけど、その中でまた分離する。どうして分離してしまうのか。
 ChatGPTは、6つの要因を出してきました。これが起きると分離してしまうんだよ、ということです。
 それは、異なる目標や価値観、コミュニケーションの不足、リーダーシップの欠如利益や資源の不均衡、対立や紛争、文化や信念の違い、この6つです。
 そもそもリーダーシップが発揮されていなというだけで、分裂をはじめます。価値観や目標がズレていき、それを調整するためのコミュニケーションが不足し、そこに不公平感が生まれて、対立するようになるといったことでしょう。これが長期にわたると、組織内に複数の文化や信念が生まれてしまい、分裂はいよいよ決定的となります。
 組織の活力は、ただ仲良くなればいいわけでもないし、融合すればいいということでもありませんが、派閥のような強固な違いが生まれてしまうと、ひとつの組織として事に当たるエネルギーが奪われていくでしょう。
 派閥はつくらない、つくらせない、とリーダーが宣言したところで、人はすぐに派閥をつくるもの。それを禁止したとしても表面だけのこと、面従腹背となっていき、組織の活力は失われます。
 いまの時代で難しいと思えるのは、そもそもリーダーシップが発揮できるのか、という問題もあるでしょう。リーダーとしてのコミュニケーション能力は極めて難しい。そもそもリーダーがなにを言っているのかわからない。わかったとしても、腑に落ちない。腑に落ちたところで行動に結びつかない。そういう時代だとも言えますよね。
 その意味では脱リーダーシップによる組織化が現実的かもしれません。
 ChatGPTは、リーダーシップに頼らない組織のまとまりづくりについて、次の点を挙げてきました。
 共通の目的やビジョンの設定、コミュニケーションの促進、チームワークの強化、透明性と公平さの確保、能力の発揮と評価の機会、個別の成長支援によって、リーダーシップ以外にも組織をまとめることは可能としています。
 なお、リーダーシップに頼らない組織の成功例として、ChatGPTは3つあげてきました。バルヴェ(Valve Corporation)、ウィキペディア(Wikipedia)、Morning Star。本当でしょうか?
 ゲームプラットフォーム「Steam」で知られるバルヴェの組織はフルフラット。経営幹部以外は上下なし。やりたいことをチームで話し合い、自分のやりたいことをやれる、と言われています。
 ウィキペディアは、ご存知、ネット上の百科事典ですが、現在251ヵ国語で編さんされています。ウィキメディア財団とウィキメディア運動提携団体によって運営されており、ウィキメディア財団は寄付で運営費用を賄っています。そして各国に項目を記述する人たちがいて、緩やかな組織で活動を続けています。
 Morning Starは、『ティール組織』(フレデリック・ラルー著)にも登場するトマトの加工品会社です。この会社の組織に属する人は「武力を行使しない」「約束を守る」の2つの原則で行動しています。みな、それぞれ自主的に活動することが求められますが、自分勝手な行動ではなく、自分たちがなにをすべきかをみんなで決めることができる組織と言われています。このほか、リーダーシップに頼らない組織づくりのヒントが多数あると言われています。
 リーダーシップはあまりにも属人的で、「リーダーがいないから」と活力の生まれない理由にもされますし、そうなるとリーダーが登場するまでその組織はダメなままになってしまうのですが、それは現実的ではありません。リーダーに頼らない組織は、今後も多くの魅力を持つ組織だと言えるでしょう。リーダーになりたい人は、勝手にやらせておけばいいのです。そんな人に頼らない組織こそ、強い組織かもしれないのですから。