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プノンペンの学校事情と足腰の話

「あなたは脚点がとても強いですね。何かスポーツされてきましたか?」。3年前に最後に日本で健康診断を受けた際に先生から聞かれたことです。「いいえ、特には。」運動と言えるほどのことをしていませんが、確かに山登りをしても、我ながら足腰が丈夫だなぁと実感します。これは生まれ育った環境に関係あるのではないかと思うのです。

キャリケースに入れないといけない量の教科書って

先日オフィスでのふたりのカンボジア人たちの会話がとても興味深かったのです。朝学校へ登校する小学生の子どもの鞄を運転手が学校の中まで持って行ってあげている姿を「甘やかしている」と嘆くA。それに対して「私立の学校は毎日20冊も教科書があってキャリーケースで運ばないといけないんだから、しょうがない」と反論するB。極めて怪訝な表情で会話を聞いているわたし。
そもそもこれはプノンペンの話。いわゆる”いい教育”を受けさせたい家庭は、学費を無理してでも私立のインターナショナルスクールに子どもたちを通わせる傾向にあります。車やバイクでドアツードア、もしくはスクールバスを使って登下校する前提のそういった学校では、毎日20冊も教科書を持っていくとか。
それ、全部、必要? と思ってしまいます。その週その日その時間何を教えるのか、きちんと計画されていたらそこまでいらないのでは? と考えるのはやっぱり外人の考えなのでしょうかね。わたしが担任だったら、旅行に行くでもないのに毎日小さい子どもにキャリーケースなんて運ばせませんけど。これは致し方ないことなのでしょうか。

高級車で大渋滞

わたしの住むアパートの近くに、英国系のインターナショナルスクールがあります。学費が安くないと聞いているので、海外赴任できている外国人の子どもやそこそこハイクラスのカンボジア人のご家庭の子どもが通ってきているのだと思います。
通学の時間帯、学校の前は高級車で大渋滞。ランドクルーザーとランドクルーザーがすれ違えるはずもない幅の道路です。
今朝、わたしは大変難儀をしました。路上駐車の車、すれ違おうとする子どもを送ってきた保護者の車、それらが完全にスタックし、歩行者すら通れない状況に。仕方ないのでわたしはスクーターを引き返し、別の道から遠回りしてオフィスに行きました(3分遅刻、ごめんなさい)。
プノンペンにあるインターナショナルスクール周辺は、登下校の時間は要注意なのです。

子どもの時にしか身につけられないもの

冒頭の足腰の話に戻ります。
わたしは新潟のど田舎で育ったので、小学校まで片道3キロありました。決して平坦な道ではなく、登り下りの坂道です。今のような軽量ランドセルではないので、6時間分の教科書と、体操着、当番の時は給食エプロンに、リコーダーやらそろばんやら何やら。あのランドセルを背負って歩いた往復6キロ×6年間がわたしの基礎体力を作ったと思っています(自分に子どもがいたら絶対やらせたくないですが、笑)。さらに冬になると、それが雪道になるのだから、歩きづらさマシマシです。スキー教室の前になると、「スキーを持って登校してください」という、地獄の閻魔でも言わないようなセリフを担任が言うのだから。今考えても、あり得ない昭和のスパルタ教育です。
しかし、思うんです。あの時代にしかできなかったことだろうけど、それが今のわたしの脚点を作っていると。お金をかけて特別にスポーツなんてことをしなくても鍛えられたことに、感謝しているくらいです。

つまりわたしは今、頼まれもしないのに、プノンペンのいわゆる”恵まれた”子どもたちの、足腰を心配しているのであります。おそらく、影響が出るのは、30年くらいしてからでしょうから。

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