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モンスター(短編小説『ミスチルが聴こえる』)
皮を剥がそう。その奥にいるのは、誰だ?
「またモンスターが現れやがった」
「六本木に神出鬼没したらしいな」
「やばいですねえ、白昼堂々人を殺しているらしいですよ」
「それも三人だって。しかも全員芸能人関係者。一人は有名な芸能プロダクションの社長さんだって。怖いわあ」
「しかし、これで何人目だ?」
「二十九人目ですね。全員に共通していることがあります。それは、『上級国民』であることです」
私はモンスター。あなたは、モンスター?
「今度は若手ナンバーワン歌手だってさ。駐車場で殺されたって」
「ひどい話よ」
「次は誰が狙われるのか、ネットでは盛り上がっているらしいな」
「やれやれ、もしかすると本当の悪魔はそいつらかもしれませんね」
一緒に堕ちよう。一緒に浄化されていこう。
「ついに政治家に手を出した。大臣だって」
「S Pは守れなかったのか」
「一瞬だったらしいですよ。一瞬で、ビリリって首の後ろ斬られたみたいです」
「やはり化け物だな。スピードが人間じゃない」
「嫌な時代ねえ」
全ては新しい世界のため。我々が住める世界にするため。
「おいおい、政治家二百人もやられたって」
「世も末だな」
「だけど世間の中ではモンスターを支持する人が急増中らしい」
「結局、みんな待ち望んでいたんだよ。必要悪を」
さあ、あなたもモンスターになりましょう。準備はいい?
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