2018年、2月28日。『真澄の空』
簡単に言ってしまえば、ちょっとした金銭トラブルだ。
もっと言えば、僕らは悪くない。悪いのは、彼一人。
彼はなぜか返すべきお金を返さなかった。
ただ、それだけ。されど、お金は怖いものだよ。
どうしてか、誰もわからなかった。
彼の頭にマネーのかけらも存在しなかったようだが、
僕らはわざわざその日に集まる約束をしたのだ。
もちろん、お金を返してもらうために。
元々、彼はおっちょこちょいな一面があった。
遅刻、道を間違えて、遅刻。予定を確認せず、キャンセル。
あとは健康管理。その辺りも怠っていた。
そういうちょっとした悪事が積み重なっていった。
そんでもって、2018年2月28日。
彼は借りたお金を返さなかった。
金を貸した友人は、静かに激怒した。
怒鳴るより怖い、眠りから覚めた龍の咆哮みたいに。
あれから4年が経つが、いまだに理解できない。
なぜ彼はお金を忘れてしまったのだろうか。
もちろん、そんなことを考えても意味がない。
常識を外れた人間のことなど、わかるわけない。
それから、僕はお金に対して敏感になった。
実はこまめに家計簿もつけるようになった。
お金のトラブルで友人が消えたんだから、
実際戒めの意味でやっているわけだ。
借りたものは、しっかり返そう。
その意識は、一生消えない。
いや、消しちゃいけない大事な記憶。
悲しい過去も、受け入れないと。
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