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空手 〜礼に始まり礼に終わる〜『真澄の空』


僕は小さい頃からいくつか習い事をしていた。
英会話、それからそろばん。
だけど一番メインで頑張ったのは空手だった。
僕にとって空手は人生の『軸』だった。

正直なところ、僕はそれほど成績を残せなかった。
空手はパフォーマンスを見せる型と、戦う組み手があって、
組み手の方はほとんど勝ったことがなかった。
型は地区大会でベスト八が限界。そのレベルだった。

小学校時代は自分の道場以外にも練習へ行き、
結構な時間を費やして己の技を磨いていた。
だが、小学生の僕は型の意味など理解せず、
ただただ先生に言われたところを直すだけだった。

小学校6年の頃、僕は一度空手を辞めたのだが、
高校1年の頃、運動不足解消のため再び習い始めた。
そこで改めて型を練習したときに初めて、
動きの意味、そして見せ方。それらを習得した。

しかし大会には出なかった。僕は自分自身を磨くことに専念した。
すると余計にプレッシャーなく練習に励むことができた。
練習を積むごとに上手くなっている気がした。
僕は高校生になって、初めて武道の楽しさを知った。

そして何より、空手を通じて礼儀を学べたことが良かった。
礼に始まり、礼に終わる。これは武道の基本である。
そんな当たり前のことを僕は何百回も繰り返していた。
いつしか、僕の人生において礼儀は日常の一部になっていた。

みんなできるでしょう? 僕はそう思っていたが、
社会に出ると、意外にもできない人が本当に多かった。
「ありがとうございます」が言えない大人がいる。
「こんにちは」すら言えない人がいることに驚いてしまった。

剣道も空手も、僕は勝利とそれほど縁がなかった。
だが、武道を通じて得た宝物があった。それが礼儀だ。
技術よりも、精度よりも、何よりも大事な礼儀。
人に対する謙虚な心。礼儀こそ、人生を彩るアイテムだろう。

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