見出し画像

ソラン



 元気だったな 
 一生懸命吠えるお前は
 芝生を駆けてく 
 リードが伸びきらないくらいに
 
 臆病だったな 
 周りは敵だらけだったのかい?
 いいじゃねえか 
 少しくらい仲良くしてやれよ
 
 あの頃は 俺も若くて 
 自我も記憶もない頃だったけど
 ソランよ お前はもう走っていたんだな 
 
 忘れねえぞ 覚えているからな 
 お前が元気に生きていたことを

 十五年か 
 あっという間に過ぎていったな
 俺は寂しいぜ 
 残された身にもなってみろよ
 
 元気でな 
 俺はお前の分も生きるから
 また会おうぜ 
 まだ見えぬ未来の先で

 今ではもう 俺もすっかり大人になったが
 ソランよ お前はまだ走り抜けられるかい?

 準備しとけよ 
 あの頃みたいに 
 空の大地を精一杯走りまくろうぜ

 ソランよ、お前はまだ…
 ソランよ、お前はまだ…
 走れるだろう? 俺は走りたい

 亡き犬の誕生日に、この詩を捧げます。
  



 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?