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給料日『俺は誰を愛せるんだ?』
年収二千万の友人が楽しそうに話していた。
「俺、〇〇に投資しているんだ」
年収二百万の俺はタバコを吸って言った。
「へえ、そうなんだ」
年収二千万の友人は常にお金を気にする。
「〇〇はこれからビジネスチャンスだよ」
年収二百万の俺はフライドポテトを食べる。
「このポテト、塩気無いなあ」
年収二千万の友人が俺に勧めてきた。
「お前もこの商材買うと、金儲けできるぞ」
年収二百万の俺は中古のラジオを調整する。
「やっぱり俺はニッポン放送が好きだな」
年収二千万の友人は俺を責めたりする。
「もったいないよ。もっとお金稼いだほうがいいよ」
年収二百万の俺はちょっとした疑問をぶつけた。
「おまえにとって幸せって何?」
年収二千万の友人は散々悩んだ挙句言った。
「お金を稼いで楽しいことをする、かな」
年収二百万の俺は心底納得した。
「そっか。お前がそれで幸せなら良いと思うよ」
給料日になって、俺は一人タバコを吸いながら、
読みかけの本を読んで、途中でラジオを聞いて、
それからフライドポテトを食べて、また本を読んで、
読み終わって余韻に浸りながら、ぼんやりして、
ラジオを聞いて眠たくなったから眠ろうとして、
ふと「幸せってなんだろう」と難題が浮かんで、
あいつの場合は「お金を稼ぐこと」だったけど、
俺の場合はなんだろうとしばらく考えてみて、
結局タバコを吸いながら本を読んで、
時々ラジオを聞いてフライドポテトを食べる、
これこそが俺の快楽だと知ったとき、
随分と安上がりな人生だなと一人可笑しくなって、
だけど世間にいる人々にはない幸福な堕落を感じて、
多分俺は幸せなんだろうなと感じた。
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