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初めて描いた理想『真澄の空』



小説を書こう。
どうしてそんなことを思いついたのか。
それは書きたい世界があったから。
いわば、僕の理想があったから。

僕は高校時代に青春を謳歌できなかった。
簡単にいうと、女性との触れ合いがあまりなかった。
僕は結構単純で、女性との関わりが欲しかった。
だけど過去は変えられない。この世はそういうシステム。

ならば、理想の高校生活を描いてみようじゃないか。
突然の思いつきは、想像以上に面白かった。
僕は高校時代新聞部に入っていた。
だから設定は新聞部で起こるラブコメにした。

本当に、単純なストーリーを描いた。
高校生の僕が新聞部で仲間たちと交流しながら、
ついでに事件に巻き込まれたり、
後輩の女の子と特別な関係を築き上げたり。

思うがまま、プロットなしで描き続けた。
それが楽しくて仕方がなかった。
だから完成したときの達成感は半端なかった。
まるで本当に自分が輝いているようだった。

正直、僕が描いた理想は稚拙極まりなかった。
だけど、僕は間違いなく楽しい時間を過ごした。
それからしばらくは創作をしなかった。
理由は明白だ。僕の中でやり切ったからだ。

ただ、何かを描きたいという欲は少しだけ残っていた。
それが社会人になったときに膨らみ始めた。
だから僕は再び創作しようと思い至った。
だけど、今度は理想じゃない世界を描くことにした。

今の僕は現実から醸し出される疑問を描いている。
しっかり現実と向き合っていると、自然と疑問が浮かんでくる。
僕はそれをしっかり掬い上げて、文字にしていく。
あとは物語を形成して、小説に変えていく。

大学時代みたいに甘い小説は描けなくなってしまった。
それだけ、心が擦れてしまったのかもしれない。
だが、今の方が自分に正直になって描けている気がする。
ようやく、僕らしさを出せるようになった、と思う。

もちろん、理想を描いていたあの頃があってこそ、今がある。
あの頃の情熱や感動を、僕は忘却したわけじゃない。
何事も、積み重ねていくことに意味がある。過去は未来を作るのだ。
いつか素晴らしい作品を描けるように、僕は執筆を続ける。

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