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俺は誰を愛せるんだ?『俺は誰を愛せるんだ?』
おい、俺は誰を愛せるんだ?
そもそも、愛ってなんだよ。
沈みゆく太陽、現れる月夜。
俺は今日も問い続ける。
桜が咲いた日の夜。
おそらく愛を教わった。
たわいもない一場面だった。
俺は君とキスをしたのだ。
夏になると土手沿いで花火が上がる。
俺と君は二人並んでそれを見上げた。
君は綺麗だねとか、そんなことを言った。
俺はなんとなく、君の頬を撫でてみた。
秋になって、落ち葉を踏み歩く。
シャラララ、と風が吹く音。
君は俺の手を繋いだ。冷たい手だった。
俺も、君の手をギュッと繋いだ。
冬になって、西洋人のイベントが近づく。
俺は君と初めて交わった。
なんだか世間の流れに沿っている気がした。
そこで、やっぱり違うと感じてしまった。
君とは再び桜が咲く頃に別れた。
全て俺のわがままだった。申し訳ない。
だけど俺には最後まで理解できなかった。
愛するという気持ちを俺は手に入れられなかった。
街中を歩けば、仲睦まじくしている男女がいる。
おそらく、それが普通の極みだとする。
ならば俺は異常の端っこで遊ぶ宇宙人だろうか。
昔から、違和感だけは存在していた。
フィクションは正確な恋愛を描いている。
ほとんどの人間はそれを感受し、再現する。
その行為が幸せであると本気で信じているから。
おそらく、アダムとイヴも幸せだっただろう。
俺は一人、締め付けられた世界に潜んでいる。
実は多様性といっても認められていない意識。
もしくは理解されない性分は確実に存在する。
人を愛せない。それが俺という生き物だ。
なあ、俺は誰も愛せないのか?
そんな人生は、あまりにも寂しい。
しかし届かぬ感情は沈んでいく。
明日もまた、同じ悩みを抱えるだろうか。
それでも生きている限りは迷い続けるだろう。
俺の精神は永遠に愛を探す旅に出ている。
誰も手を差し伸べない領域を彷徨える、羊。
もうすぐ、夜明けの歌が聞こえてくる。
海風が頬を撫でて、俺を耕す。
生命が起きる。
今日も何処かで愛が芽生える。
俺は今日も愛を問う。
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