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モリマガジンvol.11 現代アートとトイレ

<目次>
1.「現代アートってなに?」森のマスター
2.「トイレとは何か?」森のマスター
3.「現代アート考」ダサワミイロウ
絵.「デュシャンのトイレ」

▼「現代アートってなに?」
  森のマスター

現代アートの原点といわれているのは、なんとトイレである。

作品名 泉/噴水
作品 トイレ
作者 マルセル・デュシャン(フランス)
制作 1917年


作品としての物体は、男性用のトイレである、なぜトイレが現代アートの原点になったのか?というところに面白さはあって、ようは、アートの再定義、アートとは美の追求ではなく、美こそが価値でもなく、価値こそが美である、という出発点から、では人にとっての価値とは何か?という問いを既製品のトイレに託したのが、デュシャンの泉/噴水という作品だ、ぼくが泉/噴水という言葉からイメージするのは、丸い泉の中から発射される水しぶき、勢いよく上がる直線、やがて勢いを失い、1本からさまざまに現れる曲線たち、やがては静かに戻る、まるで打ち上げ花火のようなアートの世界、放尿もまた同じくして、つまりは、生きてること自体、1つ1つがアートなんだと、ぼくはデュシャンからはそんなメッセージを受け取る、その思考に価値があり、その思考はそれぞれあり、それこそが新しいアートの形で、どうやらそこから現代アートの旅が始まったようだ、終わりなき旅、価値は時代によって移り変わる、モノによって変わり、技術によって変わり、思考によって変わる、そして人によって違う。

今ぼくはここにいて、
価値ってなんだろうと
自分に問う



▼「トイレとは何か?」
  森のマスター

ぼくの住む森は、野菜畑があり、ハーブ畑があり、植物たちがいて、食卓があり、野菜くずはコンポストに入り、土に還り、循環している、食べたものは排出し、トイレに流す、集まった排出物は下水処理され、水に戻り、河や海に還される、排出物も結局は自然に還る、戦前、排出物は土をかけるなどして堆肥になり、畑にまかれていたという、戦後、誰かさんがそれは不衛生だと言い、下水処理されるようになったのだという、ならばと、ぼくはくらしのさらなる循環を求め、これからコンポストトイレを作ろうと決めた、ぼくに突きつけられた問い、トイレとは何か?、芸術家のデュシャンはトイレは泉/噴水と言った、ぼくにとってのトイレとはなんだろうか、今までのように人の排出物をただ流す所ではない、くらしの循環というテーマの主軸を担う、大きな存在であり、野菜、人、大地をつなぐ循環装置、トイレはくらしの鏡だとも言う、だとしたら、トイレはこれからのぼくたちのくらしの象徴になるのかもしれない、トイレが主役の時代がやってくるのかもしれない、これからのトイレは現代アートでありながら、地球環境の救世主として、機能性と効率性を兼ね備え、くらし循環をより良くしてくれる、地球にやさしいトイレ、地球が喜ぶトイレ、きっとそうだ、そうだそうだ、そんなのを作りたい、なんでも自分で作ってみる、そんな感じで、まずはやってみることにした。



▼「現代アート考」
 ダサワミイロウ

よく夢をみる。昔みたのは、ある楽園か桃源郷かとも思われる施設の建物にのぼって行き、そこはこじんまりとして、宿泊も出来るしずかな場所だが、なにか山岳のような空気がある。そうして、渡り廊下をすぎ、ふと、最奥のほうまでたどりついて下をみると、その先は深い深い崖の漆黒の底なし谷がひろがっていた。その場所はよく夢でみた。
あとはこの夏、実家の家族で外にいると、大木を怪獣にしたほどの枝分かれした雷が目の前の暗い空にどんどん、迫ってくる。思わず車庫に飛び込んでそれでも近づいて来て気づいたときには、びりびり‼︎と電流を浴びていた。それでも平気なのがふしぎだったが、夜とも昼ともつかない空をみていたら月を宇宙船にしたすがたの天体がすぐそこを通りすぎていた。。
夢の世界は何か象徴的で、それで何かを伝える意図があるのでは、と察してしまうようだ。現代アートを想うとき、この深部のあたりから浮かび上がって光と影を強烈に認識させる感覚を覚えるので、多分傷を負った魂がかさぶたを作る過程であらわすモーションみたいなイメージを映しているのだ。露骨に世間の熱を浴びた魂はやけどしているヒリヒリとした肌をなにかで、冷やそうとするあるいは覆うようにする何かを探す、これで、いいだろう。すると、何かが違うよう。だから、また更にさがして行く。
この繰り返しを何層にも重ねていったのが、アートの創出に近い気がする。
立秋をすぎ、今さらながら熱中症ぎみになって、秋バテじゃないか、とは言われながら。朝など外の音に耳をそばだてるともうなにか体が寂しげに受け取るざわざわ、とした訪れを感じるもので、夏はまるで、まさに現代アート的だった。そうゆう、極彩色とか熱気に誘われて遣って来るイメージは肉迫したある種の天界への1ルートだと思う。

おわり

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