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なぜ、ランコム(LANCOME)はヒットしたのか?|顧客の感情を起点に考えてみる

美容誌2020年上半期のベストコスメ発表が発表されて美容ブランドの『ランコム(LANCOME)』が受賞されました。

参照:『美容誌2020年上半期のベストコスメ発表 「ランコム」の「クラリフィック デュアル エッセンス ローション」が圧倒的存在感

非常にランコムの化粧品が売れていて、「なぜ、売れているのか?」という点を行動心理学的な側面から考えていきたいと思います。

『人は悪魔に熱狂する』の概要まとめ

今回はデータサイエンティスである松本さん著の『人は悪魔に熱狂する』を読みました。

こちらの本に書かれている内容を簡単にまとめると

・【悪】を「強欲」「怒り」「怠惰」「綺麗事と本音」「先入観」「矛盾」の6つのカテゴリに分類し、それぞれの行動のもとになる心理について解説している
・コロナウィルスなどの最近起きた事象についても行動心理学的側面から人の行動心理を解説している
・人間のダークサイド(煩悩)、不満が行動を起こさせる

人が「なぜ、その行動をするのか?」をハートドリブンで考えて、マーケティング施策を考えることで「人を動かす」ことができると再認識させてくれました。

ランコムが売れたのも感情が起点!?

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ランコムが美容誌2020年上半期のベストコスメとして受賞するほど好調に売れたのも行動心理が絡んでいると思っています。
では、どんな行動心理学的要素が絡んでいるかというと、以下のようなポイントがあげられます。

■顧客を動かす行動心理学まとめ
①ヒューリスティック
②正常性バイアス
③ザイアンス効果
④プラシーボ効果
⑤認知的不協和の解消

美のカリスマが選ぶ化粧品=絶対に良いもの(効果がある)|利用可能性ヒューリスティック

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まず1つ目の行動心理要素は、『(利用可能性)ヒューリスティック』が働いているということです。

(利用可能性)ヒューリスティックとは、 記憶に残っているものほど、頻度や確立を高く見積もる傾向。 探せる記憶だけが事実になること。 自分の記憶から簡単に呼び出すことができる情報により、バイアスがかかってしまうこと。

今回、このランコム(美容液)は、美のカリスマであるIKKOさんがメディアを通じて、オススメしている商品なのです。

IKKOさんはというと、「美のカリスマ」として多くの方から認知されているお方ですよね。美容家として今流行のメイクやオススメの化粧品などを世の中に発信し、美容業界を牽引している方の1人だと思っています。

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美のカリスマであるIKKOさんがテレビを通じて「ガチで選ぶ化粧品」と称して「ランコム」を紹介しています。

ヒューリスティックは簡単にいうと、思い込みでその事象を判断する行動心理をさします。

■ランコムが「良い」と認識させたメカニズム
・美のカリスマ=IKKOさん

・IKKOさんがランコムを紹介

・美のカリスマが紹介した化粧品=ランコム

・IKKOさんが紹介した化粧品=(絶対に)良い化粧品

・(絶対に)良い化粧品=ランコム

と認知形成することができました。

このテレビ番組「1番だけが知っている」は2020年2月に放送されたのですが、その反響は凄まじいことがデータとして残っています。

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Googleトレンドを見ると、放送された月の『ランコム』の検索ボリュームが上がっていることが分かります。
爆発的な販売をブースターとなったのは、IKKOさんによる紹介があり、多くのユーザーに「良い化粧品である」と認知形成ができたのが大きかったと考えています。

想起しやすい情報や簡単に手に入る情報を優先して使う傾向にある|ザイアンス効果

ユーザーはランコム化粧品の認知をした後は、リサーチ行動に進みます。

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現在はInstagramなどで『タグり』ながら、必要情報を収集する傾向にあります。
リサーチしていたら、たくさんの情報が出てきたり、周りの人などが同じ情報を探し、シェアしていて、それがユーザーの目に止まると「ザイアンス効果」により、好感を持つ傾向にあります。

ザイアンス効果とは、同じ人や物に接する回数が増えるほど、その対象に対して好印象を持つようになる効果のこと

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ランコム化粧品に関する情報が非常に多く投稿されています。このような単純化された意思決定プロセスを使うと、想起が容易な事例は発生しやすいと判断して、頻度や確率を課題評価してしまう。つまり、馴染みのあるものは頻度が高いと考えてしまう傾向にあります。

高いから効果あるよね!プラシーボ効果・正常性バイアス

顧客にとって、価格は3つの意味を持ちます。

(1)支出の痛み。つまり、同じ製品であれば、価格が低いほど効用が高くなることを表しています
(2)価格が高い製品の購入にステータスを感じるような高級ブランド品
(3)品質のバロメーター

それを踏まえて、知識が知覚に影響を与える現象をプラシーボ効果といいます。

プラシーボ効果(プラセボ効果)とは、本来は薬としての効果を持たない物質によって、得られる効果のこと

ランコムは30mlで¥10,000円を超える高価な美容液です。なかなか気分用としては購入できる商品価格ではないですよね。
ただ、爆発的に売れたのは「IKKOさんが勧めている商品だから絶対効果がある!」「高いから効果がある!」という心理的状況を作り出し、ユーザーを動かしたと考えられます。

また、正常性バイアスが働き、「絶対に効く!」以外悪い情報を自分の中に取り入れる行為自体を希薄化していったのかもしれません。

正常性バイアスとは、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のこと

購入する理由(購入しない理由)、なんで課題を解決してくれるのかRTBを明確にしている

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リサーチ、検討フェーズが完了したら、商品購入の段階に移ります。顧客は「自分の達成したいゴール(進歩)」のために商品を購入します。しかし、前述の通り、支出は痛みを生じますからそれを超えてでもゴール(進歩)のために商品を購入したいと思わせることが必要です。

その1つとして大切なのはRTB (Reason To Believe)です。つまり、信用できる根拠を提示するということ。

ランコムの場合は、@コスメなどのメディアを通したベストコスメとしての権威を提示されていたり

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メディアを通して、研究結果を凝縮させた商品として打ち出していますね。

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ストーリーテリングを通して、各専門家が推奨している商品であること、ランキングNo1であることなどで、読み手を惹きつけ、共感を生み出し、人を動かしています。

まとめ

人を動かす、商品を購入してもらうためには「人」を観察することが非常に重要です。①どんな課題(ジョブ)を片付けたいのか②どんな状況なのか③どんな感情を抱いているのか。人を観察して得た「情報」を踏まえて適切なコミュニケーション(商品の良さを伝える)方法を考えていきたいですね。

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