佐渡汽船のその後~上場廃止株を買ってスクイーズアウトされてみた

佐渡汽船の経営難と救済に伴う上場廃止については以前、このような記事にいたしました。経緯とスキームの詳細は記事内からダウンロード出来るPDFで見ていただきたく思います。

しかしそれにしても短時間で結構ちゃんと書いたつもりではあったんですが、「結局のところ保有してる個人株主には何が起こるの?」という視点でもう1ページ書き加えるべきだったかなと今になって思ったりも、そこまで親切にする必要もないかなとも思ったりもしています。
ともあれ、レポート中に再建スキームまとめたように、事業の当事者ではない少数株主はスクイーズアウトされて、さらに新たに新株予約権が発行されるという感じなので、こんな面白いスキームを実地に体験しない手はないなと思って1単位買ってみました。
※実際には私は現在は個別株に投資できない事情があるので、知人に説明し、理解して興味を持っていただいた上で、協力していただいています。
※事務コストを考えると超迷惑な感じかとは思います。佐渡汽船関係者には申し訳なく思います。

スケジュール感

上場廃止後から資本関係を整理して再建スキームに移行するまでのスケジュールは佐渡汽船の再建策リリースに記載がありまして、抜粋すると下記のとおりになります。5月9日の上場廃止から2ヶ月程度で新体制に移行する格好で事務処理が多いことを考えるとかなり忙しかったのではないかと思われます。これに加えてスクイーズアウトされた少数株主に割り当てられる新株予約権の行使期間は7月1日から9月30日の2ヶ月間となっているので、そこまで含めるとほぼ半年で資本構成を再構築する格好ですね。

保有株の上場廃止に伴う払出手続き

まず、特定口座だと株式の保管委託契約しているものが上場廃止に伴って保管委託していたものが払い出しされました。上場廃止日の翌日です。上場廃止自体はさほど珍しいわけでもないからこれは見たことがある方は多いかもしれませんね。
細かいこというと、払出された株式は払出されたといっても具体的に株券あるわけではないので、形式上は特定口座から一般口座に移された格好になるんでしょうかね。

通知書 (2022/5/10)

株式併合後の端数株の買い取り

で、再建スキームでは上場廃止後に 270,000 株を 1 株に併合し、少数株主の株と端株は再建スキームを主導するみちのりHDが買い取ってスクイーズ
アウトとなるわけですが、株式併合の効力発生日が上場廃止日翌日の5月10日、再分割の効力発生日が6月29日とされていたので、この間に端株の買取のお知らせが来るんだろうなと思っていたところ、5月末に発行されてきました。端株代金の払込先を指定して払い込む手続きを6月22日までに行うよう指示があります。こちらの案内の他に振込先指定用紙と返送用封筒が含まれます。
スケジュール的にはこの期限は新株予約権発行の1週間前ということになりますが、新株予約権の行使条件に端株を売却済みであることが記されていますので、再分割と新株予約権の効力発生日前までに事務手続きを完了している必要があって、1週間程度のリードタイムが要るということなんでしょうかね。

案内 表 (2022/5/31)
案内 裏 (2022/5/31)

新株予約権の無償割当と新株予約権行使の案内

そして6月29日が株式分割の効力発生日、6月30日が新株予約権の無償割当の効力発生日ということで7月に入って新株予約権割当の関係書類が送られてきます。内容は新株予約権の案内、新株予約権の目論見書、新株予約権の申込書、返送用封筒となります。ふと、こういう場合は効力発生日になってから送付するものなのかという疑問が湧きまして、要は電子的に送付するなら効力発生日にウェブサイトに掲載する格好なわけで、それと同時に紙も到着が効力発生日になるようにしないのかな?と思った次第です。でもちょっと考えればそれは色々不味いだろうなとわかるわけですけども。このへんは信託銀行の証券代行の方々が実際のロジには詳しいのだろうなと思います。

案内 表 (2022/6/30)
案内 裏 (2022/6/30)
新株予約権行使申込書

次は株券の話

というわけで、この後は新株予約権を行使して再度株主になるのですけれど、その際の株券がどうなるかというのが次の興味です。株券発行会社なら非上場なので株券がそのまま来るだけの話なのか、証券会社挟むのか、株券不発行会社なら株券預り証が来るんだと思いますけど、株券の発行請求してみたいとか(またそういう費用のかかって迷惑なことを・・・)、そういう興味がありますね。あと発行される新株に譲渡制限が付くのか付かないのか、とか。おそらくは株券不発行会社だとは思いますが、何かあったら続報を書こうと思います。

こういう事務の実際を眺めるのも大変勉強になる、というお話でした。

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