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日本語の関係性における一人称の多さ

イタリア語では「io」さえ覚えれば、どんな関係でもどんな現場でも一人称は変わらない。
多くの言語でも一人称は一つだけで、深く考える必要がない。

日本語を勉強し始めた頃に一人称の豊富さに驚いた。こんなに使うのか。イタリア語のように一つだけあれば問題ないはずなのに、なぜここまで細かく分けたのか理解できなかった。日本語の勉強を深く進めば進むほど、その不思議な感覚がわかってきた。日本人は相手との関係によって話し方が変わり、相手によって自分にまで影響を与える。

イタリア語でも丁寧語で話そうとすると、話し方が変わる。変わると言っても二人称が三人称へ変わるだけだ。特に自分に対する言葉はそこまで変化がない。言葉の類語を選ぶことで文章の美しさが変わるけど、自分に対する変化がない。

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