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日本の百貨店が宇宙船に思えてくる訳

こんにちは、いつものマッシ(@massi3112)です。

日本に来て、未だに慣れない風景と文化は百貨店だ。都会から郊外まで面積と大きさが変わるけど、必ず出会える。イタリアではないことがないけど、ミラノ、トリノ、ローマなどの都会のみにしかない。しかも少なくて大したことがない。そもそもイタリアでは、一箇所で何でもある何でも買える、という文化は非常に薄い。

日本の百貨店を見てSF映画に出てきそうな宇宙船のように見える。まるで地球を出て長旅が始まりそうな、10年から20年の壮大な旅になったとしても困らないくらいの荷物の数、そして人の数がいる。

百貨店に一歩足を踏み入れると、その瞬間から旅が始まる。目的地を明確にしていないけど目的がある。この気持ちで、買い物をする予定ではないけど知らないうちに何かを手で持っている僕がいる。地下に行けば行くほど、iPhoneのカメラ機能「タイムラプス」で撮影したものを見ているような気分になって、時間の感覚や百貨店に入った時までの悩み、問題なども消えてしまうほどどうでも良くなるのだ。

デパ地下のフードとスイーツのコーナーに入ると、そこで時間が経つのが一気に止まる。一周してもう一周して、何回も美味しいものを見て何回も同じ場所を通るたびに、見えてなかったものが出てくる。洋食から和食まで、限定のものや昔からあるものまで、アレンジされたものから考えられないほど素晴らしいものまで、それらを見るたびに興奮しながら笑顔が出るのだ。

パンコーナーもあれば揚げたての天ぷら、その場で作られた餅やコロッケもある。まるで、この長旅を楽しく元気に過ごすためのお弁当に見える。

外の景色が見えなくなるから今自分はどこにいるのか、何日の何時何分なのか、どんな人たちがいるのか、全くわからなくなる。ちょっとだけ入って見てすぐ出ようと思っていたのに、軽くても数時間がかかる。閉店時間に鳴るメロディが流れると、帰らなくちゃというより、船内の自分の部屋に戻らないといけないような気持ちになる。

デパ地下から上の階へ上がる、というか宇宙だから向きもわからない。とにかく、フードとスイーツのエリアから離れても、服のフロアやインテリアのフロアに行っても、ある場所が必ずある。アフタヌーンティーができるエリアだ。それだけではない。カフェもレストランもある。フードに関係ないエリアでフードを見て、やっぱりここは宇宙船なのだ。

話はここから面白くなる。完全に新しい生物と出会うような話が始まるのだ。簡単に言うと、定期的に開催される「〇〇展」のこと。例えば、イタリア展、北海道展、チーズ展、スコーン展など。長旅の途中で、今まで出会ったことがない未知の生物と初めて話す。しかも、言葉が通じなくても心で会話できるのだ。

自分の日常生活にあるものを百貨店と言う名の宇宙船内で見たときに、全く新しい目線で感じることができる。僕はその新しい視点を発見できたとき、改めて生きているという実感が湧き、人生の意味がわかるのだ。新しいものを知るための旅ではなく、新しい自分を探し出すための旅。

周りの環境を見ることで、自分はどうなっていくのかを知る大切な経験にもなる。

Massi

みなさんからいただいたサポートを、次の出版に向けてより役に立つエッセイを書くために活かしたいと思います。読んでいただくだけで大きな力になるので、いつも感謝しています。