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通訳日記

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日伊通訳・現場の話
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#エッセイ

僕が通訳者になるまでの道のり

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112) 「日本語上手ですね」「ペラペラですね」「さすが通訳者ですね」など、よく言われている。この言葉には、マッシ=日本語を当たり前に話せる、の意味が少なからず込められているように思う。そう言う人たちは僕の現在の結果しか見ていない。 大学生になり、ようやく大人として学べる!と意気込んだ矢先に、まるで小学生に戻ったかのようにわからない事だらけ。社会人になって日本に来て、苦労しながら、泣きながら、毎日コツコツと勉強しつつ働いてきた結果

チョコの通訳現場で訳せなかった「アレグリア」の解説

通訳現場で滑ってから1年経った。その悔しさが、未だに残っている。 2023年2月12日、ヴェンキのレシピ開発責任者GBさんとチョコレートジャーナリスト市川さんのトークイベントで、ヴェンキのアイデンティティとチョコレートについて日伊通訳を担当させていただいてから訳せなかった言葉がずっと頭に残っていた。この1年間、Allegria (アレグリア)について深く考えた。 チョコレートの話だけではなく、カカオの歴史、ピエモンテの話、チョコレートの中から生まれる感動とアモーレ。1時間

チョコ業界の通訳で僕を困らせた言葉

こんにちは、日伊通訳 マッシ(@massi3112) 2月12日はヴェンキOtemachi One店でヴェンキのレシピ開発責任者GBさんとチョコレートジャーナリスト市川さんのトークイベントがあった。そこで日伊通訳を担当させていただいた。 ツイッターとnoteではフードや食文化の話が多いけど、実は僕の本業は日伊逐次通訳。コロナ禍で休業になっていた本業は少しずつ戻っている中で、故郷の大好きなヴェンキの通訳をする日が来るなんて、通訳者として夢の一つが叶った。しかも、日本唯一のチ

大手との交渉から契約まで、具体的な話

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112) 今日は大手とのやりとりや事務的な現場の話だ。実際に頂いたメールを見せながら具体的に話そうと思う。 通訳者になりたいなら、何を勉強すればいい? 経験がないから、何から始めればいい? 社内通訳者からフリーランスになりたいが、不安。どうやって進めばいい? などなど、スキル向上やキャリアアップに対する抱えがちな不安がある。 上記の不安については、今までノートに書いたように、とにかく考えるより動くことで解決し、良いも悪いも不安か

僕とイタリア大使のラブストーリー

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112) 今日は久しぶりに通訳現場の話をしようと思う。 大型イベントで監督と舞台設計士の日伊通訳を担当させていただいた。依頼があったのは「イベント通訳」のはずだった。だが、3週間で毎日、変更があったり連絡が遅かったりしていたため、通訳以上の仕事をしてしまった。通訳が通訳以上の仕事をしてしまうのはよくある話だから、報酬と実際の働きを考えていては割に合わない。だが、確実に僕を成長させてくれるはずだ。そう自分に言い聞かせながら、無我夢中

通訳者から見た良い言葉の遣い方

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112) 通訳者にとって、一番重要な道具は何だと思う?ノートではない。電子辞書でもない。正解は「言葉」だ! 仕事の道具というのは、勉強してきた言葉、経験から学んだ言葉、観察から聞いた言葉、様々だ。 たくさん学んだ言葉の中から、パズルのように文章を作ってアレンジして口から出す。頭の中の本棚にある言葉と、周りで飛び交う言葉。記憶力と吸収力が大切だ。 さらに通訳者にとっては、コミュニケーション力も重要な道具になる。言葉をさらに伝わりやす