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散文詩:もう一度

『先に寝たきりになってごめんなさい』
「別に謝ることじゃないだろ」
『そろそろお迎えが来る気がするわ』
「バカ言うなよ」
『真実から目を逸らすなってね』
「わしの口ぐせの真似なんてして」
『探してるね』
「何を?」
『先に行って探してる』
「だから何を?」
『式場を』
「へ?」
『あなた気にしてたんでしょずっと?』
「花嫁衣装を着せてやれなかったことか?」
『そうよでも生きて戻って来てくれたんだもの』
「戦中に結ばれたからな式も挙げられずで」
『でも後悔してるんでしょだから』
「もう一度結婚し直すのか?」
『そうよ素敵な場所を見つけるわ』
「わかった必ずプロポーズするよ天国でも」
『その言葉で十分幸せよ私』
「泣くなよもらっちゃうよお前の涙を」
『愛らしい人…よしよし』
「ありがとな俺と生きてくれて」(泣)

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