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♯15 真逆のランチタイムを過ごす企業に社風を見る

ある企業で就業を始める前に届いた雇用契約書。
よく見ると昼休憩が「12:00~12:40」と書かれていた。
うわーこの会社40分しか昼休憩とれないのか…
そう思いながら初日出勤すると、上司から
「あのーお昼は契約書を気にせず、好きなタイミングで1時間以上とってもらっていいので」
と言われる。

えっ?どういうこと?
とは言いながらも、ちょっと不安なので初日は40分で戻った。

すると、他の社員さんからも
「ここの会社お昼40分になってるけど、全然1時間以上とって大丈夫なのでとって下さいね」
と、連日言われるのである。
そうですか…
何だか釈然としないのだが、皆が気にかけて声をかけて下さるので、しばらくして私も1時間弱お昼を頂くようになった。
そして、何故みんながそう言うのか理由がわかる。

この会社はランチに関しては治外法権と言わんばかりに、上層部も含め1時間以上戻らないのが常であった。
ホワイトボードにも戻り時間は書く必要がない。
「L」と書くだけである。
1時間など可愛い方で、平均1時間半は戻らない。

「少し離れたお店にお昼食べに行ったら出てくるの遅くてー」
「話が盛り上がっちゃって…」
このような感じで、まぁ、フリーダムなのだ。

ある時上司達が連れ立ってランチに行ったのだが、気付けばなかなか戻って来ていない。
その間に何件も電話があって、困っていたらば3時間近く経って楽しそうに帰って来たのだ。
(さすがにこの時は「遅い!」と周りはご立腹ではあったが…)

なぜそのような習慣になったのかは不明だが、昔からの暗黙の社内ルールであった。
この職場の契約が終了する頃には、私もすっかりその習慣に慣れてしまっていた。

だが、その次に派遣された企業はまるで真逆だった。

お昼は1時間、自分のタイミングでとるのだが、
「13:13」の様に戻り時間を分刻みで必ずホワイトボードに書かなければならなかった。
最初はこんなの誰も見てないから、覚えやすい5分とか10分の単位でダメなのかな?と思っていた。
だが、周りの人達から
「ここの職場は時間以内に戻って来ないとやばいよ」
と、警告されていた。
聞く話では、これを逐一どの社員かはわからないがチェックしているとのことだった。

派遣社員には見ることのできない、社員共有の社内掲示板の様なものがあるらしいのだが、
その中で少しでも遅れた社員がいたら、
「〇〇課の△△さんが昼2分オーバーしていました。上長は注意して下さい」
と、すぐに書き込まれるのだそうだ。
そして、派遣社員の出席しない朝礼や全員会議で名指しで注意されるのだそうだ。

それを聞いてゾッとした。
きっと派遣社員が1分でもオーバーなんてした日には、すぐに直接派遣会社にクレームものなのであろう。
「時給泥棒!」などと罵られること間違いなしだ。
この会社にいる間は、特にスマホの時計をガン見しながらの落ち着かないお昼休憩であった。

真逆の会社に派遣されてしまって、ギャップに戸惑いまくったのだが、
これだけのことだけでも、会社の社風がくっきりと出ているな…と感心していた。

前者の企業は自主性や想像力を重んじる職場で、全体的に規律には緩い部分もあった。そのため業務の上でも自己管理がとても重要な社風だった。
後者の企業は普段の業務が「正確に、失敗しない」を求める環境であることもあり、どんなことにも細かいルールが設けられており、ある意味では締め付けるという社風であったのだ。

どちらの職場がいいのかは、個人の性格などにもよると思うのだが、
個人的には前者の企業の方が居心地が良かったな…と、しみじみと後者の企業にいる間に実感していた。

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