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私とテュルク世界

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始めまして。「まそしゅ」と言います。「まそしゅ」というのは私のトルコ式のニックネームで、トルコ人の友人から呼ばれている名前です。

今日は初めての投稿なので、私自身とテュルク世界の関わりについて書こうと思います。

始めての出会いは、大学でトルコ語を専攻したことでした。きっかけは、英語以外の外国語を学びたいと思い、いろんな外国語や国について調べていたところ、偶然高校の担任の先生がトルコに旅行に行った時の写真を見せてくれたことでした。そのころはトルコのことも全く知らなかったのですが、その写真を見せてもらったことで、世界史で学んだハットウシャシュ、オスマン帝国、コンスタンティノープル等のワードが全てトルコとつながり、「なんて魅力的な土地だろう」と思ったのでした。その後トルコ語について調べると、なんと日本語と似ている!?という話が出てきて、「もうトルコ語を学ぶしかない!」と猪突猛進で入学してしまいました。

大学に入ると、トルコ語を学ぶわけですが、そこで第二の『テュルク』に出会います。トルコ語のネイティブのクラスをウイグル人の大学院生が聴講しに来ていたのです。聞くとウイグル語(新ウイグル語)はトルコ語によく似ているとのことで、私はすぐにウイグル語を勉強し始めました。大学の専攻になかったことと、文字がアラビア文字だったこと、そして何よりトルコ語に似ているということがとても面白く感じました。日本語には理解できる程とても近い言語はありませんから、お得感があったのだと思います。

ほどなくして、第三の『テュルク』に出会います。ウズベク人です。私はトルコ語を勉強していたというのもあり、留学生のトルコ人と知り合う機会がありました。彼は気さくな男で、他の留学生仲間に私を加えてくれました。そのグループは主にロシア語を話す人々で構成されており、そこでウズベク人の男性と出会いました。その時点ではあまりウズベキスタンについても知識がなかったのですが、気が合ったのか、どんどん親しくなりました。その後、彼が帰国してからもウズベキスタンを尋ねたり、家に泊めてもらったりして、今でも親友と呼べる仲の一人です。その後、サマルカンド出身のウズベク人の先生がプロジェクトベースで大学にいらっしゃったり、ウズベク語の授業が開講されていたりしたため、ウズベク語との関係はしばらく続きます。

そして一番世界が広がったのはやはりトルコ留学中でした。当時は交換留学などもなく、イスタンブールの語学学校に飛び込んでいきました。これが2008年、当時は日本人はビザがなくとも3か月滞在でき、一度出国すればまた3か月滞在できるという仕組みだったので、特にビザを取ることもせず、ブルガリアに行ったり、シリアに行ったりしながら滞在していました。語学学校のクラスはなぜかアゼルバイジャン人で、トルコ語にとても近い言語を母語とする彼らと語彙をあまり知らない私ではついていけませんでした。これが第四のテュルクです。また、その時住んでいた寮(なぜか宗教系の寮でした)で親しくしていたシリア人がカラチャイ・バルカル系(カラチャイ・バルカルはロシアの北カフカース地方に住むテュルク系民族)で、おじいさんがロシアからシリアに移住した人でした。彼が第五のテュルクで、今でもイスタンブールに行くたびに訪ねています。その後、彼の友人であったカザフ人の女性二人とも親しくなります。これが第六のテュルク。そして、帰国直前のトルコ語のクラスには、イランのトルクメン人の女性がいました。これが第七のテュルクです。彼女とは特別親しかったわけではないのですが、彼女との出会いが後に深くかかわることとなるトルコで書かれたトルクメン語の文法書を購入するきっかけとなります。

話は少し跳び、言語学の研究を続けるため東京の大学院に進学したのですが、その頃はトルコ語でないテュルク語の研究をしようと考えていたので、いろいろかじりながら何語を研究対象にしようかと思っていたところ、ある日、日本語教育を学ぶ同期が「トルク何とか人に日本語教えているよ。」というのです。私の思いつく「トルク何とか人」は「トルクメン」しかいないと思った私は、トルコで買ってきた文法書を片手に下手なトルクメン語で手紙を書きました。「会いたいです。」今考えれば変な行動力でしたが、当時トルクメン人など日本で見つからない「レア・テュルク」(はぐれ・テュルクと言ってもよいかもしれない)でしたので興奮した気がします。そこから私のトルクメン語研究が始まりました。

その後、また別の機会に書こうとは思いますが、いろいろあってロシア(モスクワ)に留学したり、トルクメニスタンで日本語を教えたりしながら、トルクメン語の研究を続けてきました。

あまり長くなっても仕方ないのでこれくらいにしますが、私に大きな影響を与えてきた「テュルク」を中心に私のテュルク世界とのつながりを描いてみました。noteでは、私のテュルク世界との関わり、テュルク諸語やその他の外国語、海外での体験、料理などについて書いていこうと思っています。(トルクメニスタンで新婚生活を過ごした話なんかは面白いかな。)テュルク世界に興味がある人もない人も読んでいただけると幸いです。

トルクメニスタンで日本語教師をしていた時の教え子と共著でトルクメン語の簡単な会話帳も出版しています。日本ではトルクメン語に関する書籍は市販のものとしては初めてになります。トルクメン語圏に旅行に行く人や生活する人、またトルクメン語を学習したい人に向けて書いていますので、ご関心のある方はどうぞお手に取ってみてください。各章の最後には簡単なコラムもあります。







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