癌でいたいわけじゃない。|2021/01/04
癌は、あくまでも人生の一部だ。
命を絶たれることもあるが、克服してネタにする人までいる。
癌によってもたらされる結果によってその印象は大きく変わるだろうが、あくまでも一部だ。
僕は、まもなく癌を卒業する。
これはその、前祝いと決意。
ちょうど一年前の今日、
グレードが悪くなっているなんぞ頭の片隅にもない僕は、
退院してまた元通りの生活に復帰できることに心を躍らせながら、
退院だー!なんて浮かれて診察室へ入った。
(いま振り返れば、元通りの生活に戻ろうと考えていたことが甘い。)
そこで告げられたこと、受け止めるプロセス、
人生を終活と銘打って過ごしたこの一年間が、僕の人生の節目となったことは間違いない。
けれど僕は、癌患者としてメッセージを発信し続けたいわけでない。
語弊を恐れずに言えば、患者=弱者のように
哀れんで欲しい気持ちは一切ない。
死を、現実味をもって目の前に感じた人間として、
生きて、生きることをありのままに伝えていきたい。
癌はそれに気づかせてくれたきっかけであり、
人生でいくつかあった生死を考える点と点を繋いでくれた、大事なピース。
この先も、癌にならない保証なんてない。
明日がある保証だって、どこにもない。
そもそも思惑通り、卒業できる保証も勿論、ない。
だから、いまこの瞬間を生きていくスタンスに変わりはないし、
終活もエンディングノートももちろんやめるつもりはない。
寛解(卒業)だね、となっても
西洋医学の統計上、平均余命や5年生存率を言われたことは事実。
心の底から安心できることなんてない。
でもね。
心の底からの安心、て。何なの???
癌サバイバーは卒業しても、人生、皆何かのサバイバー。
生き抜くんだってことに、何ら変わりはないわけで。
統合医療の治療に取り組んで8ヶ月、抗がん剤を中止して6ヶ月。
月末の検査で異常がなければ、3年9ヶ月に及んだグリオーマとの共存生活は、卒業する。
これまで通り変わらずに、日々できることを尽くし、その時を迎えたい。
きっかけを、ありがとう。
卒業、おめでとう。
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