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2020年11月に読んで面白かった本

面白かったり、役に立つ本を5冊紹介します。
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Winny 天才プログラマー金子勇との7年半

ファイル共有ソフト「Winnny」の開発者である金子勇氏(47氏)の弁護士による手記。
逮捕から裁判で無罪を勝ち取るまでの流れをまとめているが、あくまで弁護士である著者の視点と文面で語られている。
よって内容は裁判の準備から実際のやり取り、検察への不信感、そして1人の人間として金子勇氏が描写されている。
「天才エンジニアは変わり者」という世間の常識に答えてくれるべく、アレな部分から人間味まで紹介されているのが興味深い。
本件は法律解釈からWinnyからブロックチェーンにつながる技術的な側面まで様々な意見があり、逮捕の是非を含めて風化させてはならない問題である。

アント・フィナンシャルの成功法則

突然の株式上場取りやめで話題になった「アリペイ(アント・フィナンシャル)」の誕生と成長の軌跡を辿る一冊。
いまや中国国内の膨大な決済を握るプラットフォームになったが、その始まりは小規模な開発チームであり、お堅い銀行との交渉など泥臭い面も余すこと無く語られている。
テンセント(WeChatPay)もそうだが、中国発のプロダクトは最初はヘボすぎるものの、そこから圧倒的な改善を繰り返してシェアを取っていくスピード感が半端ない。
それにしても帯の丹羽宇一郎氏は、いかにも売上目当てな人選で全然関係ない。

ストーリーで学ぶデジタルシフトの真髄

IT業界の人は読むと胃が痛くなる(「みずほ銀行システム統合 苦闘の19年史」よりはマシだが……)。
内容は歴史と伝統あるリース会社における各種業務を効率化すべく、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を進めるが、過去にあったIT化の失敗、社内からの反発、全国にある支店、技術的な課題、技術以外の問題、外注との連携ミス、親会社の動向など、偉い人の無茶振りなど、あるあるネタを全部詰め込んだトラブルの重箱おせちみたいな地獄展開がとにかく辛い。
スーパーエンジニアの加入と関係者の尽力で何とか成功に至るが、完全に綱渡りであり、簡単に真似できる事例ではない(偉い人がこれを読んで内容をまともに理解せず、「他社が出来たから我社もDXを実現できる!」と誤解するのを防ぐために、あえて釘を差しています)。
とても良い本だがある意味オススメしにくいので、体調が良い時に読みましょう

決定版 5G: 2030年への活用戦略

総務省の人が書いた5Gの本。
さすが中の人なだけあり、5Gについてわかりやすく幅広くまとめており、最初の1冊にも理解を深める1冊にもなるので、大変ありがたい。
5Gが産業用途での変革を促す背景もわかるので、幅広いビジネスマンにとって影響があることもわかる(個人向けのインパクトが想像より小さいこともわかるが)。
もっとも、「コロナウイルスは5Gの基地局から発生してる」とか「学校にWi-Fiを設置すると電波で子供の学力が低下する」みたいな人にはまったく届かないのが悲しい現実。

ファシリテーションの教科書

平たく言えば「会議や打ち合わせを円滑に進める社内調整の攻略本」と言ったところ。
何かと話題のDX(デジタル・トランスフォーメーション)においても、社内外の担当者から協力や了承を得るのが重要なので、コミュ力を鍛える目的で読んでおくと良い。
どうやら世の中には、社員から意見を引き出したり、関係者の了承を取りながら仕事を進める会社があるらしい。
この本を読んでわかったが、「上司への返事は『はい』か『イエス』のみ」「社長の考えは法律より優先」「命令通りに動かない社員は制裁 or クビ」「売上達成のために犯罪(※)以外はすべて行う」という、かつて勤めていた会社は、世間一般で「ブラック企業」と呼ばれるらしい。
なお、前職のAIベンチャーはかなりホワイトであり、前々職がこれに該当する。
※「病院送りにならない傷害」「証拠の残らない詐欺」「目標達成のための詐称」は犯罪ではない。

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