アートの深読み9・桑原甲子雄の「ワンマンバス」
「写真家がとらえた昭和のこども」と題した展覧会が全国を巡回し、写真集も出版されている。こどもを被写体にして成功した写真家は少なくないが、ここでは写真家にスポットをあてるのではなく、こどもを戦前から高度成長期までの生活風景のなかから選び出している。何気なく写したスナップショットが、時代の変遷を語っている。この展覧会に出された写真で一番古いのは昭和11年、新しいのは昭和51年だが、戦前から戦中、終戦を経て高度成長する日本経済に支えられた40年にわたる昭和史のこどもたちが登場する。